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波紋 安保法制<4>増強 日米部隊統合へ布石

社会 神奈川新聞  2015年03月05日 15:21

昨秋の日米共同統合演習「キーン・ソード」に参加する自衛隊と米軍の艦船(米海軍提供)
昨秋の日米共同統合演習「キーン・ソード」に参加する自衛隊と米軍の艦船(米海軍提供)

 「日本にイージス艦2隻を追加配備する」。昨春、東京で開かれた日米防衛閣僚会談。米側の説明に、小野寺五典防衛相(当時)は思わず聞き直した。「(現在配備されている艦船との)交代ではないのか」。米側からは「純増だ」との答えが返ってきた。

 米海軍の2016米会計年度予算案には、艦船の6割をアジア太平洋に振り向ける戦略が反映された。最新鋭の装備も「優先的に配備する」(米海軍当局)としている。

 ただ日本国内では、国防予算の制約に直面する米国が「アジアの戦力を長期的に減らすのではないか」との観測が上がっている。小野寺氏自身も、米国の掲げるアジア太平洋重視への賛意を繰り返してきた経緯があった。「退くことはないだろうと思っていたが、(船を)足してくれるのは予想外だった」

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 米軍が国外で唯一、空母機動部隊を配備している拠点でもある横須賀基地(横須賀市)では、戦力の増強計画が相次いで明らかになっている。今夏と17年には、ミサイル防衛(MD)能力を持つ駆逐艦のベンフォールドとミリアスが順次、配備される。

 さらに、最新鋭の防空能力を備えた巡洋艦チャンセラーズビルも夏に加わることが発表された。地元にも不意打ちの形で、吉田雄人横須賀市長も「情報提供のあり方がおかしい」と不満を漏らしたほどだった。

 今秋には原子力空母も、ジョージ・ワシントンからロナルド・レーガンに交代する予定。これらの計画が実現すれば横須賀の艦船数は14隻と過去最多になる。なかでもイージス艦の増強からは、MD協力の深化に向けて日米の部隊が連携する環境を整える狙いも見え隠れする。

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 「日米の相互運用性が高まるようにするための日本のあらゆる努力を支援する」。2月24日、フランク・ローズ国務次官補は来日時の会見で、日本の集団的自衛権の行使容認を念頭に、MD分野で日米部隊の統合運用が進むことへの期待をのぞかせた。

 安全保障法制整備では、MDの任務に就く米艦を自衛隊が守る必要性などが検討の対象に挙げられてきた。ただ米側には、MDに欠かせない情報共有などをめぐり、同盟関係にある日米韓3カ国の協力を進めたい思惑も強い。

 3カ国は昨年暮れに北朝鮮の核・ミサイルに関する機密情報の共有を定めた覚書を結んでいるが、日本の集団的自衛権行使容認に対する韓国政府の警戒感は消えていない。それでも、ある米外交官OBは「安全保障面で日本の協力がなければ米国が韓国を防衛するのは不可能だ」と断言する。

 1月に来日したウェンディ・シャーマン米国務次官は会見で、関係国の関係改善に注文をつけることを忘れなかった。「今年は戦後70年。すべての関係者が真の和解を進めることで利益があると確信している」

【神奈川新聞】


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