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鎌倉海水浴場 市議会が規制強化案可決

社会 神奈川新聞  2015年03月05日 03:00

市海水浴場マナー向上条例改正案に対する修正案を否決した市議会=鎌倉市議会議場
市海水浴場マナー向上条例改正案に対する修正案を否決した市議会=鎌倉市議会議場

 鎌倉市議会は4日、本会議を開き、海水浴場での音楽や飲酒の規制を昨夏より強化する市海水浴場マナー向上条例改正案を全会一致で可決した。一方、海の家の営業時間を具体的に盛り込んだ議員提案の修正案は、賛成少数で否決された。営業時間などは、市と海の家側の協議に委ねられる。

 昨年6月に施行された同条例は、入れ墨の露出や音響機器を使った80デシベル超の音楽などを「迷惑行為」とする一方、順守を努力義務にとどめていた。可決された改正条例は、迷惑行為を「禁止行為」に改め、▽音響機器の使用▽海の家以外での飲酒▽250平方センチ超の入れ墨などの露出-などを禁じた。さらに違反者には市が指導や勧告を行うと定めた。

 市条例は来場者に対する規制だけのため、市議5人はこの日の改正案の採決前に、海の家の営業時間を「午後8時半まで」とするなど海の家側の責務にも踏み込んだ修正案を議員提出。上畠寛弘氏(無所属)は提案理由説明で、松尾崇市長も午後8時半の閉店を主張していることなどを挙げ、「海水浴場の開設者である市が責任を取るべきだ」と条例で定める必要性を強調した。

 だが採決の結果、賛成6人、反対18人(退席1人)の賛成少数で否決された。

 鎌倉の海水浴場をめぐっては、海の家の「クラブ化」などによる治安悪化が深刻化し、市が昨夏、来場者にマナー向上への協力を呼び掛ける条例を制定。しかし状況は大幅には改善されず、市は規制強化を表明していた。

 一方、海の家の規制については、市民や関係者が議論する協議会は2月の会合で、営業時間などの規制内容は市と組合の協議に委ねることを決めていた。

◆海の家規制で“攻防”

 海の家の営業時間を条例で定めることは、見送られた。鎌倉市議会は4日の本会議で、議員提出された改正条例修正案を賛成少数で否決。開会前には、市の3海水浴場のネーミングライツパートナー(命名権者)で鎌倉名物「鳩サブレー」で知られる豊島屋の社長が、修正案が可決されれば命名権契約の解除をにおわせる要望書を市議会に提出するなど、賛否をめぐる攻防が繰り広げられた。

 「昨夏、周辺住民からの苦情や犯罪件数が増えたことは数値に表れている」。修正案の提案理由説明で、上畠寛弘氏は治安改善のためには海の家の営業時間を条例に盛り込むべきと主張した。松尾崇市長も、海の家の営業終了時間を午後8時半に短縮する考えを繰り返し表明してきた。

 これに対し、海の家でつくる市海浜組合連合会は、昨夏と同じ午後10時を主張。市民や関係者でつくる協議会が結論を市と組合との協議に委ねたため、規制強化を求める市議らが修正案という形で異議を唱えた格好で、同僚市議に事前に賛同を呼び掛けていた。

 そこに一石を投じたのが、豊島屋社長の久保田陽彦氏だった。2013年5月には、3海水浴場の命名権者として年間1200万円の契約を市と結んでいる。本会議前に提出された要望書は、「市との命名権契約締結時点と、(修正案可決により)海水浴場が大きく変わるのであれば契約不履行と判断し、それなりの措置を講じる」と議会側を牽制(けんせい)した。協議会委員でもある久保田氏は神奈川新聞社の取材に、「協議会の結論を尊重し、議会で決めるべきではないと考えた」と、規制への批判ではなく手続きを問題視したと説明した。

 本会議では、修正案への賛成討論はなかった一方、反対討論は5会派が行った。9日の市と組合との協議を見守るべきとの意見のほか、「営業時間の見直しは必要」「午後8時半までには賛同する」といった意見も出された。

 採決は賛成少数。計約7時間に及んだ審議を傍聴席から見届けた組合関係者は「豊島屋は、まさにホワイトナイト。(市議の賛否態度にも)大きく影響したでしょう」と笑みを見せた。議論は、9日に行われる市と組合との“直接対決”に舞台を移す。本会議閉会後、報道陣の取材に答えた松尾市長は「昨夏までのような状況にならないよう、(営業時間は午後8時半までと)曲げずに主張したい」と述べた。

【神奈川新聞】


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