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芸者“花代”に補助 宿泊者減、歯止めへ 湯河原町が割引券販売

カルチャー 神奈川新聞  2015年03月04日 03:00

湯河原梅林「梅の宴」で披露された芸妓の舞=2月21日、幕山公園
湯河原梅林「梅の宴」で披露された芸妓の舞=2月21日、幕山公園

 湯河原町は8月から、湯河原温泉で芸者に支払う“花代”の代わりに使用できる割引クーポン券「お座敷券(仮称)」を販売する。町によると「(花代に自治体が助成するのは)おそらく全国初」といい、ユニークな取り組みで宿泊者数の減少や伝統文化の衰退に歯止めをかける。

 「お座敷券」は額面2万円分を1万5千円で販売する割引クーポン。宣伝費などを加えた予算550万円は、国による地方創生交付金から2014年度の一般会計補正予算案として計上、3日開かれた町議会3月定例会で可決された。

 町内の基幹産業である観光業は、バブル経済期をピークに下降の一途をたどり、特に宿泊客数では04年度に約78万5千人、13年度には約53万6千人まで減少。旅館数も04年度の106軒から13年度末で80軒を切った。町内の他業種にも悪影響を及ぼしている。

 打開策として町も近年、地域商品券(08年度)やプレミアム旅館利用券(11年度)といった割引クーポン券を相次いで発行したが、宿泊客数減少に歯止めはかかっていない。今回で3種類目となる「お座敷券」は、低迷する湯河原観光の切り札として多くの人に期待されている。

 この日の本会議でも、予算の4割強を占める経費額に関して町議から「高すぎるのでは」との指摘はあったが、予算案は全会一致(1人欠席)で可決。観光業以外の町内業者も事業の趣旨には理解を示しているという。

 “当事者”である芸者衆の思いも切実だ。湯河原芸妓(げいぎ)組合によると、伝統文化の担い手でもある芸者はピーク時に350人ほどいたが、現在は約30人と縮小を余儀なくされている。

 宴席の減少は、ただ生活の糧が失われるだけではなく、伝統文化を披露する場がなくなることでもある。半世紀近く芸者として湯河原温泉で活動してきた井上嘉江組合長は「若手へ文化を引き継ぐためにも活躍の場は必要。花代があれば師匠について稽古にも励める」と期待する。

 冨田幸宏町長は「湯河原温泉の芸者は、地域の伝統文化であり貴重な観光資源。これを機会に身近でポピュラーな存在に感じてもらいたい」と力説している。

【神奈川新聞】


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