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【社説】川崎中1殺害 再発防止へ検証を急げ

社会 神奈川新聞  2015年02月28日 10:53

 川崎市川崎区の多摩川河川敷で市立中学校1年の男子生徒(13)が遺体で見つかった殺人・死体遺棄事件が新たな局面に入った。県警は男子生徒と関わりのあった少年3人を殺人容疑で逮捕し、残虐な事件の全容解明に乗り出した。

 周囲の大人たちが、なぜ男子生徒が置かれた苦境を把握できなかったのか。学校や川崎市教育委員会の対応が不十分だった感を否めない。

 捜査の進捗(しんちょく)と並行しながら、川崎市が中心となり早急に事件の詳細な経緯を検証すべきである。同様な事件を二度と繰り返さないための具体的な再発防止策を示し、地域の児童、生徒、住民らの不安を取り除いてもらいたい。

 事件から浮かび上がるのは、男子生徒を取り巻く同級生や友人らの世界と教師、学校側との隔絶した状況ではないか。無料通信アプリ「LINE(ライン)」を軸に構築された人間関係。教室とは別空間の世界に、保護者を含む大人たちは入り込むことはできなかったのか。

 一方で、学校側の危機意識の低さも垣間見られる。男子生徒はことしに入ってから一度も登校していなかったが、文部科学省が定義する「不登校生徒」には当てはまらなかったという。担当教諭は携帯電話などで連絡を取ったり家庭を訪問したりしたが、状況の把握には至らなかった。

 生徒たちと教諭の間に信頼関係があり、コミュニケーションが円滑であったら、長期欠席の原因や男子生徒をめぐる人間関係の一端を知ることができたはずだ。行動範囲も周辺地域が中心とされ、学校の踏み込み不足を指摘せざるを得ない。

 川崎市では市教委・学校と地元警察署の担当者で構成する「学校警察連絡協議会」を設け、定期会合を開いている。少年に関わる地域の関係機関が連携し、情報交換を行う取り組みは評価したい。

 一方で、地域で上下関係に基づくグループを形成し、集団行動する今回のケースなど、少年非行の実態をどこまで共通認識としていたのか。さらなる実効性のある連携のあり方を模索すべきであろう。

 近年、不登校や長期欠席の児童、生徒の数は全国的に高止まりしている。子どもが学校に登校しないこと自体が「SOS」と受け止めるべきであろう。事件は全国の教育現場にとっても大きな教訓である。国を挙げて対策の再考が求められる。

【神奈川新聞】


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