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【社説】辺野古移設 沖縄の民意をくみ取れ

社会 神奈川新聞  2015年02月27日 10:30

社説
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米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設をめぐり、中断していた海底掘削調査の再開へ向けた準備作業が最終段階に入った。沖縄防衛局は3月末までに調査を終え、移設工事を本格化する方針とみられる。

沖縄県が前知事による埋め立て承認の是非を検証する第三者委員会を設置し、結論が出るまで作業を中断するよう要請。海底作業の適否を調べるため、県が潜水調査を開始したさなかである。

政府は、昨年の県知事選と衆院選の県内全選挙区で移設反対派が当選している事実を直視すべきだ。現状のままでは移設計画の混迷は深まるばかりであり、安倍政権は沖縄の民意をくみ取らなければならない。事態打開には沖縄県との対話の積み重ねが不可欠であろう。

知事選で移設推進派の現職を反対派の翁長雄志氏が破り当選して以降、政府の対応には強引さが目立っている。首相や政府首脳と翁長知事の面会はいまだに実現していない。来年度の沖縄振興予算は減額となる見通しである。

政府は関連法令はクリアしたとして、着実に作業を進める立場を崩さない。むろん、市街地に立地する普天間飛行場の移設は喫緊の課題である。問題は、地方選挙と総選挙で明確になった県民の意思との乖離を顧みないかのような姿勢だ。

民主的なルールという観点からすれば、翁長知事が設置した第三者委の報告が出るまでの間は作業を中断するのが筋ではないか。辺野古沿岸部は絶滅危惧種ジュゴンや貴重なサンゴが生息しており、自然保護上の貴重さが十分認識されていたかどうかの再検証も必要だ。

これまでの経緯から浮かび上がるのは、戦後、米軍基地を抱える地域で政府が続けてきた「アメとムチ」による対策への反発の強さといえよう。巨大基地の建設への拒否感がかつてなく高まっている背景には、集団的自衛権行使の容認など一連の安全保障政策の転換があるのではないか。基地周辺地域が攻撃の対象になるかもしれないという危機意識の表れでもあろう。

今後、日米同盟強化、自衛隊の活動拡大へ向け恒久法の制定や日米防衛協力指針(ガイドライン)の再改定が予定されている。新たな安保体制の整備の延長上に、辺野古移設が位置づけられているとみるのが妥当だろう。

【神奈川新聞】


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