1. ホーム
  2. 社会
  3. 検証2015川崎市予算<下>待機児童対策 地域の保育力を結集

検証2015川崎市予算<下>待機児童対策 地域の保育力を結集

社会 神奈川新聞  2015年02月26日 03:00

正午すぎ、明かりを落とした民家の一室に、愛らしい寝顔が並ぶ。定員は5人。生後43日~2歳の乳幼児を預かる小さな保育室には、保育士歴18年の長田京子さん(48)の思いが詰まっている。「母親が子育てに一番悩む時期に、実家や親戚に預けるような環境で育てたい」

来春の設置を目指すJR南武支線の「(仮称)小田栄新駅」予定地から徒歩5分。人口増加エリアの一角で、長田さんは3階建て住宅の1階部分約30平方メートルを改装、子ども用トイレを設置したり、手作りの給食を提供したり、アットホームな雰囲気にこだわる。

5人の「園児」を常に2~3人のスタッフで支えるきめ細かな保育が売りだが、3歳になる前に保護者があらためて預け先を探す手間がかかるなど、認可外施設ゆえの不都合もあった。

4月から始まる国の「子ども・子育て支援新制度」では、こうした少人数タイプの施設を対象に「地域型保育事業」を創設。長田さんの保育室も同事業のうち定員5人以下の家庭的保育と位置付けられ、川崎市の認可施設に移行する。

病院で受診する乳幼児健診を近くの認可保育所で受けられたり、3歳からはその保育所へ入園できたり。周辺施設との連携で生まれるメリットも多く、長田さんは「認可を受ける責任は大きいが、保護者に安心して預けてもらえる環境が整うことはうれしい」と話す。

少人数施設を重視する国の方針は、大規模な保育所を新設するスペースが限られる都市部の事情や、地方の少子化の流れを反映させたものだ。川崎市はその最たる例で、総務省が5日に発表した2014年の人口移動報告によると、転入超過数は県内最多の6553人に上った。その一方で、地価高騰などによるスペース確保の難しさも浮かび上がっており、小規模な受け皿のニーズが高まっている。

「過去最大」。福田紀彦市長が6日に発表した15年度予算案で、保育事業費は前年度比約17%増の総額427億円を計上した。

認可保育所の新設や市独自の認可外施設「川崎認定保育園」の拡充、そして長田さんらの地域型保育を合わせた総定員は2万6985人。いわば地域の保育力を結集させる形で、新たに3260人分もの受け入れ枠を創出した。

一昨年11月の就任以来、最重要課題として取り組む待機児童対策。目標の4月の解消を前に、福田市長は「こだわりはあるが、数ありきではいけない。目的はあくまで、女性が働きやすい環境をつくりだすこと」と施策の意義を説く。

長田さんも「待機児童ゼロの言葉ばかりが先行している印象。川崎の子どもたちを大切に育てたいという思いを、現場も共有したい」。施設数の増加に見合う担い手の確保や保育水準の維持向上。目標達成のその先も、問われている。

【神奈川新聞】


シェアする