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【社説】ピケティ氏の警鐘 格差拡大を認め是正を

社会 神奈川新聞  2015年02月23日 10:30

不安や不満、危機感を共有する層がじわじわと増えているからだろうか。「格差問題」が世界的な関心となっている。

火付け役はフランスの経済学者トマ・ピケティ氏の大著「21世紀の資本」だ。日本でも昨年末に邦訳が出版され、学術書としては異例のベストセラーとなっている。

ピケティ氏の主張は明解だ。世界20カ国以上の過去数百年にわたる膨大な納税データなどを綿密に分析し、資本主義は格差社会を招くと指摘した。具体的には、富裕層が株や不動産などで得る利益の伸びは、労働所得の伸びを常に上回ることを実証した。

米国で顕著な状況であり、1%の富裕層が富の多くを独占している。不満を抱える国民が「私たちは99%」とし、金融資本主義の象徴であるウォール街を「占拠せよ」とデモを起こしたのは記憶に新しい。

日本の場合は、戦後復興から高度成長期を経る中で、経済的豊かさが浸透し、格差是正が一気に進んできた。「一億総中流」と言われたが、バブル崩壊後の「失われた20年」で非正規雇用の拡大、生活保護受給者の増加など格差が顕在化している。

ピケティ氏によれば、長い目でみると資本主義における格差是正期は例外的で、政治が適切な所得の再配分を行わなければ富も貧困も世襲される。現在、同氏の警鐘や提唱への異論や反論も含め、活発な議論が起きている。より公平な社会のありようを考える好機としたい。

開会中の国会でも格差問題は重要なテーマとなっている。民主党の岡田克也代表は衆院本会議の代表質問で、格差について安倍晋三首相の認識をただした。首相は「拡大しているかどうかは一概に申し上げられない」「格差が許容できないほど拡大しているとの(国民の)意識変化は確認されていない」と答弁したが、果たしてそうだろうか。

例えば、富裕層の資産を身内に有利に移転させる贈与税の優遇策などを進める一方で、平均的な所得の半分を下回る世帯で暮らす18歳未満の子どもの割合を示す「子どもの貧困率」は16・3%と過去最悪となっている。実に6人に1人が貧困状態だ。国際的にも高水準で、貧困の連鎖を断ち、機会の平等を実現していく必要性は論をまたない。首相はまず格差拡大を率直に認め、是正により力を振り向けるべきであろう。

【神奈川新聞】


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