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拓け若い力!横浜農業 vol.6 二宮大輔さん
“イチゴおいしかったよ”の声に励まされて

神奈川新聞  2015年02月19日 00:00


 横浜市は面積の約7%が農地。農業を守り、新鮮な農畜産物を市民に提供し続ける全国でも例のない大都市です。その先頭で活躍する若い農業者をご紹介します。


約700坪のハウスでイチゴ栽培をしている。手軽に収穫体験が楽しめる観光農園として人気を集めている。
約700坪のハウスでイチゴ栽培をしている。手軽に収穫体験が楽しめる観光農園として人気を集めている。

収穫体験を通じて都市の農業理解を
 市内旭区にある「二宮いちご園」。2月から5月ごろまで、連日“イチゴ狩り”を楽しむ人でにぎわいます。「父親は植木農家ですが、私は果物をつくりたいと思い、周辺では手掛ける人の少なかったイチゴを選びました」と二宮大輔さん。各地の農園を参考に、熟したイチゴを消費者にその場でもぎ取って食べてもらう「収穫体験ができるいちご園」を始めることにしました。「このスタイルなら出荷の手間がなく、包装材費も不要です。しかも多くの人に農業を間近に見てもらい、獲れたての新鮮さを味わっていただくことができます」

 初めは5連棟300坪のイチゴハウスを構えました。栽培する棚を地上1.2mの高さにする「高設栽培」方式を採用しました。作業の負担が軽くなるだけでなく、誰でも楽な姿勢で収穫することができます。さらに棚の間の通路幅を広く取り、ベビーカーや車椅子でも通行できるようにしました。

 栽培するイチゴは甘みの強い「章姫(あきひめ)」と「紅(べに)ほっぺ」です。ハウスの設備業者から手ほどきを受けた他、先輩や同世代の農家仲間の助言を受けて工夫を重ね、やがて「二宮いちご園」をスタート。反響は予想以上で、収穫するイチゴが足りずお断りするケースも増えたことから、開園1年後にはハウスを当初の倍以上の約700坪まで拡大しました。


収穫体験とは別に直売も。準備をする大輔さんとスタッフ
収穫体験とは別に直売も。準備をする大輔さんとスタッフ

喜ぶ消費者のために安全・安心の栽培
 イチゴのハウス栽培は、春先の親苗作りから始まります。その後栽培ベッドに苗を定植、慎重な手入れや水の管理、病害虫対策を施しながら、12月から5月ごろまで収穫期が続きます。

 「イチゴは繊細な味わいのものですから、栽培にも細かい配慮が必要です。例えば、与える水がほんの少し多いだけでも、甘みが薄くなってしまいます」。機械が一定の間隔で散水する仕組みになっていますが、晴れた日と曇りの日では散水の回数を調節する必要があり、連日空を見ながら、きめこまやかな判断を重ねます。

 さらに熱心に取り組んでいるのは、徹底した安全・安心の栽培。イチゴは直接口に入れるものであることから、化学農薬ではなく自然由来の薬を中心に使っています。また、有害な虫を駆除する“天敵栽培”も、積極的に進めています。

 スタートから10年目を迎えた二宮いちご園。今年も赤く熟した甘いイチゴが実り、来園者でにぎわっています。「帰りがけに“おいしかったよ”と声を掛けていただけるのが生産者として一番うれしいですね」。消費者のすぐそばでイチゴ栽培が続きます。

JA横浜の黒沼利三 代表理事副組合長が語る!横浜農業の

魅力


今年の出来や味わいを確認する黒沼副組合長(左)
今年の出来や味わいを確認する黒沼副組合長(左)

 二宮さんは、父が植木農家でありながら、自らの力でイチゴ栽培の道を切り拓きました。5~6カ月の収穫期間を保つため日々の栽培管理を行い、消費者が近くにいる都市農業の強みに目を向け、栽培を始めて10年目になります。あま~い香りが漂うハウス内。意欲高いイチゴ農家が横浜市内で頑張っています。身近な農園に出掛けてみてはいかがでしょうか。



企画・制作:神奈川新聞社クロスメディア営業局


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