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「長老」ガジュマル移植難しく 箱根の熱帯植物園、3月に閉館

社会 神奈川新聞  2015年02月16日 12:23

芦之湯フラワーセンターのシンボルツリーのガジュマル=箱根町芦之湯
芦之湯フラワーセンターのシンボルツリーのガジュマル=箱根町芦之湯

温室で一年中、花が楽しめる箱根町芦之湯の熱帯植物園「町立芦之湯フラワーセンター」(湯山久美子所長)が3月末の閉館を決めたが、建物内にある同センターのシンボルともいえるガジュマルの今後についての見通しが立たずにいる。本州では珍しい貴重な大木だが、温度管理の必要性や移植の難しさなど課題が多く、施設の再利用法にも影響するなど町は頭を抱えている。

ガジュマルは熱帯原産のクワ科の常緑高木。同園のものは鹿児島県・奄美大島産で、樹齢は200年を超えている。高さ約8メートル、幹回り約3・5メートルで、本州最大規模という。

あまりにも大きいため、施設の建設途中に搬入、屋内へ植え込んでから建物をかぶせたという。以来、オープンした1988年からずっと芦之湯を見守ってきた「長老」だ。

同センター指定管理者の町観光協会によると、93年度に年約16万5千人を記録した入場者数が、2013年度は約1万7千人にまで減少。温度管理や空調など膨大な維持費が掛かるため、14年度限りでの閉館を余儀なくされた。

町は閉館後の建物をそのまま別業態に転用する方針を示しており、来館者の人気を集めた「球根ベゴニア」など展示植物約6千株の大半を占める鉢植えは、売却や移譲される予定という。ただ、地面に直接植えられているガジュマルについては、建物の出入り口より大きいため「屋根を一部壊すなどしなければ、施設から取り出すこと自体が難しい」という。

かといって、このまま残せるのかといえばそうでもないようだ。熱帯植物という性質もあり、冬は日常的に最低気温が氷点下となる箱根・芦之湯で栽培するには強い暖房が欠かせない。だが別業態に転用すれば今の環境を維持することは難しいとみられる。

町は引き取り手があれば移譲することを考えているが「誰にでもどうぞ、というわけにはいかない。植物園など、きちんとした栽培設備や技術がある場所に話をしなくては」と苦悩をにじませる。

14年春まで約10年にわたりガジュマルを見守ってきた前所長の古川公貴さん=現・箱根湿生花園園長=は、移植に伴う搬出の難しさを踏まえ「次に建物を使う人が世話をしてくれるなら、それが一番いいのだろうけれど」と口ごもる。施設管理の厳しさを知り尽くしているだけに、歯切れは悪い。

クリスマス前に大木を装飾する恒例企画「ガジュマルツリー」を発案したのも古川さんだった。四半世紀の間、箱根に根を下ろし、静かに生きてきた大木。「自分にはどうすることもできない。でも、どこかで生きていてほしい」と、複雑な思いを漏らした。

【神奈川新聞】


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