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活火山・箱根山の監視を強化 水蒸気噴火に備え

社会 神奈川新聞  2015年02月15日 03:00

観光客でにぎわう大涌谷
観光客でにぎわう大涌谷

県内唯一の活火山、箱根山の観測態勢が2015年度から強化される。県温泉地学研究所(小田原市入生田)は新たに、人工衛星の画像や従来にないタイプの地震計を使った地殻変動の監視を開始。全国の主な活火山で観測網を拡充する気象庁とも連携し、噴火の兆候をいち早くつかめるようにする。昨年9月に御嶽山(長野、岐阜県)で起きたような水蒸気噴火を念頭に置いた取り組みで、いざに備えて県は訓練や注意喚起にも力を入れていく。

県は16年度を含む2カ年で監視機能の強化を図る方針だ。15年度予算案には約6200万円の事業費を計上している。

新たな試みとなる衛星画像の利用は箱根山の地殻変動を面的に捉えるのが目的で、観測地点が限られている衛星利用測位システム(GPS)による監視活動を補完する。2カ所に新設予定の長周期地震計は、火山性微動やマグマの上昇といった噴火前の現象を捉えることが狙いという。

このほか、火口として想定される大涌谷の新たな噴気地帯の状況を詳しく把握するため、既設のカメラや火山ガス検知機器の一部を移設。さらに地元の民間施設が独自に測定している温泉井戸の水位やガスの濃度などを一元化し、解析に役立てる。

御嶽山で起きたのは大量のマグマが噴出する大規模噴火ではなく、影響範囲が限定的な水蒸気噴火だったが、多数の登山客らが山頂付近にいたため被害が拡大。57人が死亡し、6人が行方不明になる戦後最悪の火山災害となった。

県温地研の天野勇次長は「同様の噴火は箱根山でも起こりうる。大涌谷には観光施設があり行楽客も多いため、兆候をいち早くキャッチできるようにしたい」と説明している。箱根山は噴火の間隔が長く、直近は12~13世紀ごろだったが、この時も水蒸気噴火だったとみられる。

御嶽山の噴火を踏まえた火山観測態勢の見直しは、有識者らの緊急提言を受けた気象庁も箱根山を含む全国の常時観測火山で進めている。全体で約60億円を投じ、地震計や空震計、火山ガスや地磁気の測定機器などを整備する計画で、水蒸気噴火の前兆を把握できるよう火口周辺の観測を強化する。箱根山の詳細は固まっていないが、気象庁火山課は「温地研と調整しながら進めたい」としている。

県は並行して噴火を想定した対策も急ぐ方針で、地元市町などと連携した訓練や講演、看板の設置に取り組み、箱根山が活火山であることへの理解を促す。また、噴火時の降灰に備えるため、自衛隊や消防、住民向けの防塵(ぼうじん)マスクやゴーグルなどの備蓄に乗りだす。これらの事業費として約500万円を計上している。

【神奈川新聞】


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