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  3. 【社説】施政方針演説 論戦通じ争点を明確に

安倍晋三首相は国会で施政方針演説を行い、あらためて「改革断行」に意欲を示した。戦後構築されたさまざまな制度や価値観が転換点に立つ状況である。国会論戦を通じて改革をめぐる争点を明確化し、その可否を十分に検証してもらいたい。

安倍首相は演説で経済の好循環の実現を目指す考えを強調。引き続き経済最優先で国政運営に当たるとともに、財政再建と社会保障改革にも力を注ぐ方針を打ち出した。

経済施策「アベノミクス」の成果が問われる段階である。効果が広く行き渡らない限り、格差が拡大すると言わざるを得ない。

成長戦略の重点に位置づける農業、医療、エネルギーの各分野の改革が経済再生に結び付き、雇用の創出や賃上げにつながるのかどうか。野党には政策の実効性を多角的に吟味してほしい。労働分野をはじめとする規制改革の中身についても、経済的利益一辺倒に陥っていないか点検してもらいたい。

今国会の最大の焦点は、集団的自衛権行使へ向けた安全保障法制整備といえよう。安倍首相は過激派「イスラム国」による邦人人質事件に絡み、テロに屈しない姿勢を重ねて表明した。先の参院予算委では自衛隊任務の拡大を視野に入れた憲法9条改正に言及しており、平和憲法との整合性を注視したい。

米軍など他国軍の後方支援を行うため自衛隊の海外派兵を随時可能にする法整備をめぐっては、新たな恒久法の制定か、現行法の改正で対応するのか、見解が分かれるところである。中東ホルムズ海峡での機雷掃海活動が集団的自衛権行使の要件に当たるかどうかの議論も重要だ。

安全保障政策の転換は、今夏に発表予定の「戦後70年談話」にも関連する問題である。中国、韓国との信頼関係の再構築は東アジアの平和、安定のためには不可欠と認識すべきだ。先の大戦の反省に基づき日本が貫いてきた平和主義の意義を再確認し、世界に発信すべきだろう。

団塊の世代が75歳以上になる2025年が迫り、社会保障改革に猶予はない。財政再建、税制改正と一体の課題であり、持続可能な制度への転換が急務といえる。

また、若者の就労支援や子どもの貧困対策の充実強化は社会的な要請である。将来世代が希望を持てる社会の形成につながってこそ改革の必要性があろう。

【神奈川新聞】


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