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【社説】安全保障法制 「見える議論」が必須だ

政治行政 神奈川新聞  2015年02月12日 10:22

自民、公明両党が近く、安全保障法制に関する与党協議を再開させる予定だ。他国軍への支援を含め、自衛隊の活動をどこまで広げるかなどが焦点となる。

集団的自衛権行使の容認のために憲法解釈を変更した昨年の閣議決定を受けた流れだ。だが、それ以降、安保関連の法整備をめぐり、国民に開かれた議論がなされてきたとはいえない。日米両政府が協議を進めている防衛協力指針(ガイドライン)の改定も、最終合意は先送りされたままだ。

現行のガイドラインが改定されてから周辺有事の関連法が成立するまでにも数年を要した経緯がある。政府や与党が閣議決定時に「法制整備がなされて初めて自衛隊が動ける」と繰り返してきた以上、国会議論をおざなりにして関連法案の成立を急ぐのは許されない。

安倍政権は、中東・ホルムズ海峡に敷設された機雷を自衛隊が除去できるようにすることにも前向きだ。エネルギーの輸送ルートが封鎖される事態は、閣議決定で集団的自衛権行使の要件とした「わが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険」に当たるとの考えだ。

一方、横須賀などに展開している米軍の空母機動部隊が日本周辺で自衛隊に掃海などの支援を求めてきた場合にはどうするか。明確に「存立が脅かされる場合」と判断できる根拠を整理しておかなければ、際限ない拡大解釈を招く恐れがあろう。

過激派組織「イスラム国」による邦人人質殺害は、危機管理の重要性をあらためて突きつけた。安倍政権は「積極的平和主義」を掲げるが、国際貢献の幅が拡大すれば直面するリスクも広がるだろう。在外邦人の安全確保が重要な課題となっていることは論をまたない。

だが自衛隊による「邦人保護」と「邦人救出」は、性格が大きく異なる。他国の主権が及ぶ領域で自衛隊の活動はどこまで可能なのか、現実的な検証が不可欠だ。武力攻撃に至らない「グレーゾーン」への対処も含め、想定される事例を丁寧に挙げながら、国民に分かりやすく説明していく努力を怠ってはならない。

野党にも注文がある。国民の目に触れられる国会論戦は、野党の検証が説得力を持ってこそ実現する。党内意見を早期に集約し、与党との対立軸を立てる準備を急いでほしい。

【神奈川新聞】


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