1. ホーム
  2. 社会
  3. 住宅耐震、県内自治体で地域差 達成見込みは3市のみ

住宅耐震、県内自治体で地域差 達成見込みは3市のみ

社会 神奈川新聞  2015年02月08日 03:00

住宅耐震化の目標達成見込み
住宅耐震化の目標達成見込み

古い木造住宅の倒壊で多くの犠牲者が出た阪神大震災の教訓から、現行の耐震基準(新耐震基準)を満たす住宅の割合を2015年度中に90%へ引き上げる全国的な計画について、現時点で達成を見込む県内の市町村は川崎、大和、海老名の3市にとどまることが神奈川新聞社のまとめで分かった。24市町村が達成困難とみており、進捗(しんちょく)状況の地域差が浮き彫りになっている。多くの自治体が建て替えより安価な耐震改修に補助金を出し家主を支援しているが、高齢化で利用は伸び悩んでおり、「頭打ち」の懸念も出ている。

住宅の耐震化率は、その地域にあるマンションを含めた総戸数に対し、1981年6月施行の新耐震基準を満たす住宅が占める割合を指す。

81年5月以前の旧耐震基準の住宅の中でも木造の対策が遅れているが、壁や筋交いなどの補強や屋根の軽量化を行えば耐震性を確保できる。取り壊しや建て替えによっても新基準の割合は高まるため、これらの推移も踏まえ、多くの自治体が2015年度末までに耐震化率を90%にする耐震改修促進計画を掲げている。

その進捗を県内33市町村に聞いたところ、達成を見込んでいるのは、08年時点の耐震化率が推計86・5%だった川崎、昨年度で89・1%の大和、昨年1月に89%まで上がった海老名の3市のみだった。

川崎市は75万円だった補助額を東日本大震災後に200万円に引き上げたことが奏功し、利用が増加した。市の総合計画に合わせ18年度に92・5%という独自の目標を掲げてきた大和市の補助額は50万円と高くないが、解体や建て替えが予想を上回るペースで進んだ。海老名市の補助もほぼ同額ながら「古い建物がもともと少ないことが大きい」(都市計画課)という。

一方、相模原、横須賀、小田原、厚木など「達成困難」とみる24市町村の多くが居住者の高齢化を要因に挙げる。小田原市は「子どもの世代が住み続けるか分からないとして、耐震化を優先して考える人が少ない」とみる。

国内で大きな地震が起きると、不安の高まりや備えの意識から改修補助の利用は増えるが、東日本大震災以降の伸びは持続していない。工事に対して100万円を助成している横須賀市は震災直後の11~12年度は40~50件に増加したものの、本年度は20件に満たない状況となっている。

横浜など達成見込みが「不明」とした6市町の事情もさまざまだ。

東日本大震災後に225万円という全国的にも手厚い補助を13年末まで行った横浜市が把握する直近の耐震化率は12年度の86%。市建築防災課は「改修は比較的順調だが、建て替えがどの程度行われたかがつかめない」と説明する。

藤沢市の場合は「従来は棟数で耐震化率を算出していたが、これではマンションの耐震化の状況が正確に反映されない。今後戸数ベースに見直して率をはじく」方針だ。財政の厳しさなどから目標年次を23年度に設定している大磯町は「まだ先のため、現段階で達成できるかは分からない」としている。

◆耐震改修促進計画 死者6434人の大半が建物内での圧死だった1995年1月17日の阪神大震災を教訓に制定された耐震改修促進法に基づき、自治体が定める計画。住宅のほか公共施設や病院、店舗、ホテルなどについて耐震化の目標を掲げ、実現への施策や財政支援などを定めている。国が2006年に公表した基本方針をベースに15年度に90%を目指す自治体が多い。県内では県と全33市町村に計画があるが、国土交通省の集計によると昨年4月時点で沖縄や岩手、東京などの計82市町村が未策定。

【神奈川新聞】


シェアする