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【社説】介護報酬引き下げ 安定運営可能か検証を

社会 神奈川新聞  2015年02月03日 11:29

介護保険サービスの公定価格である介護報酬が2015年度から2・27%引き下げられる。改定は3年ごとに行われるが、引き下げは9年ぶりで、その下げ幅も過去最大に近いものとなった。

狙いは膨張する介護費用の抑制だ。介護保険の総費用は、制度開始の00年度は3・6兆円だったが、14年度には10兆円にまで上昇。団塊の世代が全員75歳以上になる25年度には約20兆円に達する見通しだ。

介護報酬を1%下げれば、税金や保険料などを年間約1千億円減らすことができ、国民負担は軽くなる。

介護保険料の伸びも抑えられる。現在、全国平均で月約5千円の保険料は、財務省の試算では4月から同5800円に上がる見込みだったが、報酬引き下げなどで同5550円に抑えられるという。介護サービス利用者の負担も軽くなる。

介護報酬全体ではマイナス改定だが、職員の処遇改善に充てる加算制度は充実させ、賃金を月1万2千円程度引き上げる。

景気回復に伴う雇用状況の好転により、介護現場での人手不足はさらに深刻になっている。このままでは25年度には介護職員の不足が約30万人に上るという厚生労働省の推計もある。

同省の賃金構造基本統計調査によると、13年の福祉施設介護員の平均賃金は月約22万円で、全産業平均を約10万円下回る。本県のように産業が多く賃金水準も高い都市部では、介護人材の確保は特に困難を極めており、待遇改善は急務ではある。

しかし、今回の改定は事業者にとっては大打撃だ。処遇改善分を除くと事業者が受け取る報酬は約4%抑制され、特別養護老人ホームやデイサービスを中心に大幅な減収が予想されている。

事業者からは、報酬全体が引き下げられれば経営が不安定になるとの声も多い。職員の処遇は改善されても、雇用を減らしたり、正規職員を非正規職員に置き換えたりする結果になれば、本末転倒だ。

高齢社会を生きる私たちにとって介護は避けられない不安であり、介護保険制度は安定して運営されなければならない。今回の介護報酬改定が人材確保に結び付き、事業者が必要なサービスを継続して提供するための財政的基盤としても機能したか、政府は注意深く検証していく必要がある。

【神奈川新聞】


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