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「縄張り意識強くて…」 引き取り手なく10年、小田原城址公園のサル

社会 神奈川新聞  2015年01月28日 11:00

サルの写真を撮影して楽しむ外国人観光客=小田原城址公園本丸広場
サルの写真を撮影して楽しむ外国人観光客=小田原城址公園本丸広場

小田原城の天守閣がそびえる小田原城址公園(小田原市城内)内で飼育されているサル。同公園に動物園があった時代の名残をとどめ、子どもたちや観光客の目を和ませている一方で、市は動物園撤去のためサルの引き取り手を探してきたが、見つからないまま10年になろうとしている。

小田原城の二の丸から本丸へ常盤木門を通ると、直径約5メートル、高さ約7メートルの円柱形のおりが見える。おりには6~30歳ほどのニホンザル9頭が飼育されている。

本丸広場にあった「小田原動物園」はこども文化博覧会が開かれた1950年に開園。人気者だったアジアゾウの「ウメ子」をはじめ、ライオンやヒグマ、キジなどさまざまな動物がいて、遠足などで訪れる子どもたちでにぎわった。

しかし動物園は、小田原城跡の国史跡指定(59年)後、「史跡にふさわしくない」とする国からの指摘のほか、獣舎の老朽化もあって、維持管理が難しくなった。

市は2005年度から「本丸広場環境整備事業」で本格的な撤去に着手。動物は日本動物園水族館協会を通じて移転先を探し、全国の動物園や公園に順次引き取ってもらった。ウメ子が人間でいえば100歳を超える推定62歳で大往生した09年9月以降、ニホンザルのみが残っている。

市観光課は引き取り手が見つからない理由について「サルは、縄張り意識が強く、既にサルがいる施設では移転先のサルとけんかしてしまう。一つの群れでの新規移転が前提になる」と条件面での難しさを挙げる。

ポニーやヤギが飼育され、市が管理委託する「小田原こどもの森公園わんぱくらんど」(同市久野)への移転も検討されたが、野生のサルを呼び寄せる可能性があり、来園者の安全確保や周辺地域の農作物被害の懸念などから断念した。

餌代だけでも年間約60万円を支出しているという、市にとっては“お荷物”的なサルだが、おりの周りには親子連れや観光客が訪れ、サルの愛くるしいしぐさを楽しむ光景が毎日見られている。2歳の娘とたびたび訪れるという市内出身の女性(33)は「動物園があった時代が懐かしい。子どもたちはサルを楽しみに来ているので、いなくなったら悲しい」と飼育の継続を求めていた。

同課の飼育担当者は「飼育している以上、サルが健康で長生きしてほしい。今後も引き取り手を探していきたい」と話している。

【神奈川新聞】


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