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【社説】横浜市予算案 投資効果の見極め必要

政治行政 神奈川新聞  2015年01月28日 09:55

横浜市が2015年度の当初予算案を発表した。「未来を見据えて力強く前進する年」と位置づけたように、一般会計は過去10年間で2番目の規模となった。厳しい財政状況は続くが、子育て支援やシニアの活躍、都心・郊外の再生、災害対策といった分野に注力する林文子市長の積極姿勢が色濃く反映された。

背景にあるのは危機感だ。同市は今、大きな転換点を迎えつつある。人口は19年をピークに減少へ向かう。一方で、25年には高齢者は約100万人に上り、増え続ける。社会の主要な担い手である生産年齢人口は既に減っており、道路や下水道などインフラの老朽化への対応も求められている。東京にますます人や企業が集中していく懸念もある。

こうした構造的な問題は昨年末にまとめた中期4か年計画(14~17年)で共有されている。今回の予算案は予想され得る未来を座して待つのではなく、都市の魅力をもう一段高め、人や企業を呼び込むための固い決意の表れと言えよう。

具体的には、看板施策である待機児童ゼロの継続に向けた保育所整備や、小学校の放課後児童対策といった切れ目のない受け皿の拡充など子育て支援に力点を置いた。女性が働きやすい環境を整えることは社会の活力につながり、市の一貫した施策を評価したい。都市インフラや災害対策では、横浜環状北線・北西線などの整備による環状道路ネットワークの構築を急ぎ、市立学校の耐震化事業は総仕上げの段階に入る。死者が出た昨年の土砂崩れも踏まえ、崖地対策を加速させる。

成長への肝となる中心部の再開発は山下ふ頭の整備、市庁舎の新築移転をテコにした関内・関外地区の活性化、新たな交通体系の導入などめじろ押しで、街の表情を一変させる大型ハード事業が緒に就く。

20年東京五輪の勢いを市内にも取り込みたいとの狙いは理解できる。ただ、例えば山下ふ頭への誘致がささやかれるカジノは賛否が割れており、熟議は欠かせない。建築資材や人件費が高騰する中での新市庁舎建設にも不安はあろう。

計画の遂行は重要だが、過密なスケジュールで結果を急ぐあまり、事業費がかさみ、財政や他事業が圧迫されるような事態を招いてはならない。積極投資の費用対効果を慎重に見極めながら、魅力的な都市づくりを進めてほしい。

【神奈川新聞】


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