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横浜市15年度予算案 五輪見据え臨海部投資 5年連続のプラス編成 インフラ、防災も重点

政治行政 神奈川新聞  2015年01月28日 03:00

予算案を発表する林市長=横浜市役所
予算案を発表する林市長=横浜市役所

横浜市の林文子市長は27日、2015年度当初予算案を発表した。一般会計は前年度比5・4%増の1兆4955億円で5年連続のプラス編成となった。主因となった施設等整備費は同28・6%増の2360億円で、過去10年間で最大の伸び率となった。20年東京五輪を見据え、山下ふ頭再開発や新市庁舎整備など臨海部の開発に積極投資しつつ、横浜環状道路など都市インフラの整備、区庁舎や市立学校の耐震化など防災対策に重点を置いた。

一般会計の歳入は市税収入が法人市民税の一部国税化の影響などで1・4%減の7095億円(うち20億円を補正予算の財源として留保)。市債発行(借金)は14・9%増の1608億円となった。

歳出は人件費や扶助費(福祉・子育て・医療)、公債費からなる義務的経費が3%増の8322億円に上った。歳出に占める義務的経費の割合は、55・6%となり、財政の硬直化が常態化している。

昨年末に確定した中期4か年計画(14~17年度)で、五輪までの完成などを明記した事業に対し、予算を配分。物流拠点から大規模集客施設の設置など機能転換を図ろうとしている山下ふ頭再整備には、実施計画の策定、調査費や測量費として前年度から大幅増の約4億6千万円を充てた。

新市庁舎整備に約1億3千万円、LRT(次世代型路面電車)など臨海部での新しい交通システムの検討費も前年度比約4倍の3千万円を計上。パシフィコ横浜の隣接地に建設予定の新たなMICE(マイス=国際会議、展示会などの総称)施設の整備に4200万円を盛り込んだ。

カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の検討費も前年度と同様に1千万円を継続して盛り込んでいる。

将来の街づくりへの投資とともに、区庁舎や市立学校など公共施設、民間福祉施設の耐震改修も175億円増の304億円を充てている。横浜環状道路などの整備も本格化し、148億円増の339億円を計上した。

また、子ども・子育て支援新制度への移行に伴い、独自助成を行うなど保育と教育の質の充実を図るために822億円を投じる。小児医療費の通院医療費助成は10月から、現行の小学校1年生までを小学校3年生までに拡大するため80億円をつぎ込んだ。

一般会計の15年度末の借入金残高は2兆5385億円を見込んでいる。

また、公営企業会計は会計基準の見直しで前年度に退職給与引当金などを計上した影響で18%減となった。

◆ “二兎”追う大きな決断 〈解説〉

横浜市の林文子市長にとって6度目となる新年度予算案の編成は、対応を迫られる足元のインフラ整備や修繕維持への積極的な取り組みと、将来への投資という“二兎(にと)”を追ったのが特徴だ。その結果、施設等整備費が前年度比で約3割増と大きく膨らんだ。

法人市民税の税率引き下げの影響で市税収入は約100億円減で、3年ぶりの減収が見込まれる。外郭団体への支援見直しや事務事業の効率化、貯金に当たる財政調整基金の活用、前年度比14・9%増となる1608億円の市債発行で、何とか財源を捻出した。

市債発行額を年度の元金償還予定額の範囲内に抑える横浜方式のプライマリーバランスは2006年から黒字化を保ってきたが、今回初めて188億円のマイナスとなった。国の基準より厳格とされるが、財政健全化の指標の一つの“たが”を外したことになる。

今後、五輪に向けて建築資材や人件費が高騰し、都市インフラの整備費はさらにかさむとみられる。財政規律を守りつつ、動きだした臨海部などの次世代の街づくりを着実に進めていくという難しいかじ取りを迫られる。

「今が投資のタイミングだ」と将来に向け、大きな決断をした林市長の市政運営の手腕と説明責任が今後より一層、問われる。

◆ 15年度の主な予算案 ■子育て■ ▽保育所整備等 (53億4700万円)

▽放課後児童育成推進 (59億4500万円)

▽寡婦控除のみなし適用 (1900万円)

▽小児医療費の助成 (80億5300万円)

■教育■ ▽中学校昼食の充実 (1億8100万円)

▽緊急地震速報受信端末を全校設置 (4100万円)

■防災・減災対策■ ▽建築物耐震性向上 (304億3400万円)

▽まちの不燃化推進事業 (5億2900万円)

▽がけ対策の推進 (5億1100万円)

▽消防本部庁舎整備事業 (1000万円)

■高齢者■ ▽特別養護老人ホームの整備 (35億1300万円)

▽養護老人ホームの整備 (12億1800万円)

■医療■ ▽総合的ながん対策推進事業 (1億5000万円)

▽横浜臨床研究ネットワーク支援事業 (1億円)

▽市民病院再整備事業 (7億8100万円)

■市民協働■ ▽横浜文化体育館の再整備 (3000万円)

■文化芸術・観光・MICE■ ▽MM21地区の20街区MICE施設整備事業 (4200万円)

■都心・郊外部の整備■ ▽新市庁舎整備事業 (1億3000万円)

▽都心臨海部における新たな交通システムの検討 (3000万円)

▽統合型リゾート等新たな戦略的都市づくり検討 (1000万円)

■都市基盤整備■ ▽横浜環状道路等整備 (339億8500万円)

▽山下ふ頭の再開発 (4億5900万円)

■環境未来都市・環境施策■ ▽水素エネルギーの利活用推進 (1億円)

一般会計   1兆4955億円( 5.4%増)

特別会計   1兆3947億円( 1.4%増)

企業会計     5918億円(18.0%減)

…………………………………………………

総  計   3兆4820億円( 0.9%減)

※四捨五入のため合計が一致しない場合もある

【神奈川新聞】


横浜市民1人当たり予算の使い道
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一般会計当初予算案
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