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【社説】高齢者と免許 移動支える施策が必要

社会 神奈川新聞  2015年01月24日 10:05

警察庁が、75歳以上の運転免許制度について見直す方針を示した。免許更新時の検査で「認知症の疑いがある」と判定された人に医師の診断を義務付ける。道路交通法の改正案を次期通常国会に提出する。

運転する高齢者はもちろん、周囲の安全を考えれば、診断の義務付けといった厳格化の流れは必然といえよう。診断書の提出とともに、家族に連絡するなどして自主的な免許証の返納を促すことにも地道に取り組んでもらいたい。

今月7日、首都高速で認知症の83歳の男性が逆走して大型トラックなど2台と衝突し、死亡する事故が起きた。

警察庁のまとめでは、昨年に高速道路を逆走した車が起こした人身事故は21件(11月末時点)あり、66・7%(14件)が65歳以上の高齢者だった。

事故に至らなかったケースも含めると207件を数え、このうち9月末までの165件の分析では、13・9%の運転手が認知症だったことも判明している。

逆走事故など増加傾向が深刻な高齢者の事故を防ぐためには、リスクが高い運転者の存在状況を的確に把握することが求められる。

現行の道交法では、3年ごとの免許更新時に75歳以上のドライバーを対象に簡易な認知機能検査を行っている。しかし、検査で「認知症の疑い」と分類されても、その後に違反をしない限りは医師の診断を受ける必要がなかった。

認知症は急激に認知機能の低下が進むこともある。「疑い」時点で診断を義務付けなければ、次の検査まで、実際には認知症になったドライバーにハンドルを握らせ続けることになってしまう。

今回の改正案では、認知症の疑いでの診断義務化のほか、疑いがなかった場合でも逆走などの違反をすれば臨時検査が義務付けられる。

認知症の高齢者は予備軍も含めると800万人以上と推計される。

老老介護の現実がある中、車という移動手段がなくなれば生活に影響が出る人も少なくないはずだ。高齢になれば、認知症でなくても車の運転を控える人も多くなるだろう。

事故予防だけではなく、高齢者の移動手段を確保する視点も必要だ。コンパクトな街づくりなど、日常生活に困らない支援策の拡充も同時に図っていかなくてはならない。

【神奈川新聞】


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