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副支社長ら過失否定 地裁で証人尋問 笹子トンネル事故訴訟

社会 神奈川新聞  2015年01月21日 03:00

横浜地裁に向かう笹子トンネル事故の遺族ら=横浜市中区
横浜地裁に向かう笹子トンネル事故の遺族ら=横浜市中区

山梨県の中央自動車道笹子トンネルで2012年12月に起きた天井板崩落事故で、死亡した男女5人の遺族12人がトンネルを管理する中日本高速道路(名古屋市)と点検担当の子会社に計約9億1千万円の損害賠償を求めた訴訟の口頭弁論が20日、横浜地裁(市村弘裁判長)であった。点検に関わっていた中日本の八王子支社副支社長ら2人が初めて法廷に立ち、「事故前の点検に問題はなかった」と過失を否定した。

訴訟で被告側は、管理者として過失がなくても賠償責任を負う「工作物責任」は認めつつ、点検に不備があったことなどによる「使用者責任」は否定。事故以前の点検状況や、事故を予測できたかが争点となっている。

副支社長は証人尋問で、事故3カ月前の点検が当初計画より期間や人員を縮小して行われた点について、「要領にのっとっており、問題はない」と主張。子会社の取締役土木管理部長は事故3カ月前の点検をめぐり「(当初の計画通りに行われたとしても)事故を防げたという認識はない」と述べた。

遺族も7人が証言台に立ち、「事故は明らかな人災で、過失があることは明らかだ」などと訴えた。

事故では5人を含む計9人が死亡。国土交通省の専門家委員会がまとめた最終報告書は、天井板つり金具のアンカーボルトをトンネル本体に固定する部分の強度低下が事故原因と結論付けている。

◆遺族側 事故原因解明の消極姿勢に憤り

提訴から1年8カ月、ようやく行われた証人尋問で、被告側は事故前の管理に問題はないとする見解をあらためて明確にした。事故の責任と向き合わず、原因解明にも消極的に映る姿勢に、遺族側は憤りを募らせた。

「管理にミスがあったとは認識していない」。約4時間にわたった被告側の2人の証人尋問では、事故前の管理や点検状況について過失を否定する証言が続いた。やりとりを見守った遺族の厳しい表情は、崩れることはなかった。

続いて行われた本人尋問で、小林洋平さん=当時(27)=の父寿男さん(68)は「安全を守るという仕事を忘れ、利益を取ったのが事故の本質だ」と批判。松本玲さん=当時(28)=の父邦夫さん(64)は「誰の身に起こってもおかしくなかった事故。公正で妥当で、正義を貫いた判決を求めたい」と強調した。

閉廷後、石川友梨さん=当時(28)=の父信一さん(65)=横須賀市=は「事故原因の解明を求めて裁判を起こしたが、今日は一向に進展しなかった」と語り、「事故から2年以上がたった。良心があるなら、私たちの気持ちを理解してほしい」と被告側に求めた。

【神奈川新聞】


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