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【社説】原子力災害避難基準

社会 神奈川新聞  2015年01月14日 12:24

在日米海軍横須賀基地に配備されている原子力空母ジョージ・ワシントン(GW)が今夏、同型艦のロナルド・レーガンと交代する。原子力空母として日本に初めて配備されたGWが後継艦と交代することは、横須賀に原子力空母が恒久的に配備されることにつながる。政府も地元自治体も、もっと敏感に向き合っていくべきだ。

GW配備を控えた2007年、市は市内10カ所で市民説明会を実施。放射線監視体制の強化や防災訓練、在日米海軍との防災協定といった安全対策について周知したが、今回は行わない意向だ。

吉田雄人市長は「市として、説明をすることは現段階(8日)では考えていない。諸元もすべて一緒、同型艦であるということが大きな理由」と説明した。

だが、GWが配備された08年9月とは、大きく異なる状況がある。11年3月の東日本大震災で、東京電力福島第1原発の過酷事故を経験したことだ。

福島の原発事故を引き起こす温床となったのは、「安全神話」であった。米軍は無謬(むびゅう)ではない。最悪の事態を想定した備えを行うべきだが、横須賀では懸案が残されている。その一つが、国が定めた事故時の避難基準に、原子力艦と原発で食い違いがあることだ。

福島の原発事故後に原発の避難基準を厳しくしたために生じた矛盾であり、吉田市長は13年4月に外務省を訪れて是正を求めた。市は14年夏にも再要請を行ったが、解決に至っていない。

外務省は「福島の原発事故を踏まえた原子力安全規制の見直しの結果を踏まえ適切に対処する。政府としては、横須賀の問題意識を受け止めている」としながらも、「見直しの議論や調整にはなお一定の時間が必要で、具体的なめどを示すのは困難」との回答を続けている。

吉田市長は「国の原子力に関する知見の多くは福島原発事故の収束に向けられている。考えを整理するのに、ある程度の時間が必要なのは仕方ない」などと国の対応に理解を示してきたが、国は原発再稼働にエネルギーを費やしている。横須賀が後回しになっている感は否めない。

市長は解決の時期として、「空母交代の時期を考慮の一つにしてほしい」と述べた。政治力を駆使し、国を動かすタイミングだろう。

【神奈川新聞】


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