1. ホーム
  2. 社会
  3. 【照明灯】ネット時代の申し子たちへ

【照明灯】ネット時代の申し子たちへ

社会 神奈川新聞  2015年01月12日 09:01

きょうは「成人の日」。新成人が生まれた1994年は6月に松本サリン事件、95年は1月に阪神大震災、3月に地下鉄サリン事件と暗い出来事が続いた

▼明るいニュースでは94年に大江健三郎さんのノーベル文学賞がある。95年は震災をきっかけとしたボランティア元年であるとともに、インターネット元年と位置づけられる。新成人はネット時代の申し子と言っていい

▼大人とは何だろう。大人になるとはどういうことか-。現代社会では子どもと大人の境目が明確でない。だから成人式という通過儀礼によって「さあ、君はきょうから大人だ」と肩をたたかれたところで首をかしげざるを得ない

▼「生理的・法律的には立派に『大人になる』ことができた人が、社会的・心理的な面から見ると大人にならないままでいることが多く、このギャップのために現代人の苦しみが存在する」。心理学者の故・河合隼雄さんが「大人になることのむずかしさ」(岩波現代文庫)の中で指摘している

▼宗教やイデオロギーが、大人になるために必要な世界観を与えてくれた時代は去った。ならば個々が一生をかけて悪戦苦闘し、大人への階段を上るしかあるまい。頼りない言葉であるかもしれないが、はなむけとして新成人に贈りたい。

【神奈川新聞】


シェアする