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ショコラボの挑戦:障害者雇用の現場から〈下〉可能性は工夫次第

社会 神奈川新聞  2015年01月10日 09:43

ショコラボは横浜市営地下鉄センター南駅からほど近く。のぼりと看板が目印だ=横浜市都筑区
ショコラボは横浜市営地下鉄センター南駅からほど近く。のぼりと看板が目印だ=横浜市都筑区

「障害者だからできないと決めつけてはいけない。できるよう創意工夫することが大切」

障害者の就労支援を目的としたチョコレート工房「ショコラボ」(横浜市都筑区)。運営する一般社団法人「AOH」会長の伊藤紀幸(49)は、作業風景をガラス越しに見守りながら力を込めた。

例えば箱詰め作業。数字の概念が苦手な障害者にとって、数種類のチョコを決められた数ずつ入れていくのは、想像する以上に難しい。ならばと、健常者のスタッフが用意したのがチョコの種類や数字を手書きした紙や空き箱。それを見ながらチョコを詰めていけば、絶対に間違えないという優れ物だ。

「私だったら、彼らにはできないからと作業をさせなかった。でも、中途半端な優しさはかえって良くないのだと教えられた」

ほんの少しの工夫で「できない」を「できる」に変える。そうすることで障害者たちは仕事に自信を持って取り組み、きちんと成果を出す-。2年間の実践の中で伊藤は確信した。既にショコラボを巣立ち、別の場所で就職に至った者もいるという。

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1万3180円。これは、2013年度の県内の就労継続支援事業所の平均工賃だ。ここで言う工賃とは事業所の収益が出たときに障害者へ支払われる額を指す。福祉事業所は一般に収益が低く、工賃が低水準になりがちだ。「県として、これが妥当な額だとは思っていない」。県障害福祉課の担当者は打ち明ける。

県は13年度から共同受注窓口を設置。チラシ折りやカレンダーの組み立てなど、一事業所で受けきれない大口の仕事の発注があった際、複数の事業所に仕事を振り分けている。また、福祉事業所から優先的に物品調達するなど工賃アップにつなげるべく県も取り組むが、障害者が自立した生活を送ることのできる水準では、決してない。

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そうした障害者雇用の現状を少しでも改善したいというのが、伊藤のかねての思い。ショコラボでは1日6時間、週5日働く障害者に対し、月額2万5千円前後の工賃を支払っている。

手間をかけたチョコは次第に評判となり、今では百貨店やホテルなど販路も拡大。事業は軌道に乗りつつあるが、「まだまだ」と伊藤は先を見据える。

「永続的に事業が成り立つよう基盤を固め、もっと多くの報酬を払えるようにするのが、当面の目標。その上で、5年後にはショコラボを全国数カ所で展開、10年後には海外へ進出したい」

伊藤は今、そんな夢を抱いている。 =敬称略

【神奈川新聞】


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