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【社説】展望2015 国際 「秩序」崩れ深まる混迷

社会 神奈川新聞  2015年01月10日 09:10

2015年の世界は、ウクライナをめぐるロシアと欧米の対立を契機とした「冷戦後秩序」の崩壊を背景に混迷が深まり、一層の流動化が必至の情勢である。

これまでの国際的な力の均衡は、冷戦の勝者とされた米国の強力な指導力の下、西側諸国の結束で維持してきたといえよう。しかし、「世界の警察官」を自任した米国主導の勢力図は、中国やロシアの台頭、緊迫する中東情勢、欧州連合(EU)域内でのナショナリズムの興隆によって揺らぎ始めている。

一方、米国は大統領選を前にオバマ氏の権力基盤が弱体化し、人種、移民問題について国民の対立が激化。中国、中東諸国などでも政治体制、経済格差や宗教観などをめぐり内政に不穏さを抱える状況だ。

当面は主要国で総選挙が相次ぐ欧州の動向が注目される。経済低迷が長引きデフレへの懸念が指摘される中、債権危機の引き金になったギリシャで再び政情不安が増している。EUが進める財政再建路線に反発する急進左派が政権を握れば、加盟国間の分断の契機にもなろう。

フランスなどでは移民排除を訴える右派が台頭。「反EU」のうねりが顕在化しつつあり、ユーロ圏外の英国でのスコットランド独立の動きも含め、国際秩序の要であった欧州が一転、大きなリスク要因になりつつある。原油価格急落によって通貨ルーブルが暴落したロシアの危機の波紋にも注視する必要があろう。

「アラブの春」を契機に対立の構図が複雑化する中東は、過激派「イスラム国」の勢力拡大という新たな火種を抱える。米国の威信低下と裏腹の事態といえよう。壊滅を目指す米国を中心とした有志連合へのテロの拡散も懸念される。武力による制圧には限界がある。資金源の遮断など粘り強い対策が求められる。

近年、権益対立の舞台は陸海空という既成概念を超え、サイバー空間(コンピューターネットワークの情報空間)や宇宙空間にも広がりをみせている。IT、衛星技術の進歩がもたらした負の側面といえよう。

ほかにも感染症の拡大や地球温暖化、大規模災害、核兵器廃絶など国際社会が連帯して対応すべき新たな課題が山積する。創設70年を迎える国際連合の役割をあらためて認識する時期だ。日本をはじめ常任理事国入りを目指す国々が、機能強化へ組織改革を先導すべきである。

【神奈川新聞】


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