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原子力空母交代 横須賀市長は市民説明会実施せず 「同型艦」理由に

社会 神奈川新聞  2015年01月09日 03:00

原子力空母の安全対策に関する市民説明会=2007年8月27日、横須賀市の追浜公民館
原子力空母の安全対策に関する市民説明会=2007年8月27日、横須賀市の追浜公民館

米海軍横須賀基地に配備されている原子力空母が今秋までに交代することについて、横須賀市の吉田雄人市長は8日の会見で「市として、説明をすることは現段階では考えていない」と述べた。2008年の原子力空母配備時は市主催で説明会を開いたが、今回は行わない意向だ。空母の母港化に懸念を表明する市民団体は「市はやるべきことをやってほしい」と求めている。

08年9月から同基地に配備されている原子力空母ジョージ・ワシントン(GW)は、約25年ごとに必要とされる燃料交換、大規模修繕などのため米国本土に戻る。後継艦として今秋にも同型の原子力空母ロナルド・レーガンが配備される。

市は07年、空母キティ・ホークからGWへの交代を控え、市内10カ所で市民説明会を開催。放射線監視体制の強化や防災訓練、在日米海軍との防災協定といった安全対策について周知した。前年の06年には、蒲谷亮一前市長が市民の意見を聞く会を2回実施。参加者からは「原子力で動く船など横須賀に来てほしくない」「放射能に対する安全性を示す全ての情報が明らかにされていない」など、不安や反対の声が出ていた。

前回の空母配備の経緯をよく知る吉田市長はこの日、市主催の説明会は行わないと表明。「同型艦であるということが大きな理由。諸元もすべて一緒という状況がある」と述べた。

ただ、11年3月の東京電力福島第1原発事故以後、市では原子力災害対策で新たな懸念材料が増えている。内閣府の原子力艦災害対策マニュアルでは毎時100マイクロシーベルトを感知した際、半径3キロ圏内で屋内退避と規定。一方、原発事故後に原子力規制委員会がつくった新指針は毎時5マイクロシーベルトを計測した場合、原発から半径5キロ圏内で避難と定めるなど基準に食い違いが生じている。市は13年4月から国に是正を求めているが、解決していない。

GW配備時とは状況が異なる中、06年と08年の2度にわたり、市に空母配備の是非を問う住民投票条例の制定を求める直接請求署名運動(市議会で否決)を展開した「原子力空母母港化の是非を問う住民投票を成功させる会」はことし2月以降に町内会や自治会などを対象に独自の説明会開催を検討している。

「空母交代の問題は原発再稼働問題にも匹敵する」と訴える呉東正彦弁護士(成功させる会共同代表)は「米海軍に直接市民に説明してもらいたいが、市にも当然説明責任はある。やるべきことをやってほしい」と要望。一方で「われわれは、市民全体で考える問題と捉えているので市と一緒にやっていきたい」と、市の基地担当者にも説明会に参加してもらうよう求めていくという。

【神奈川新聞】


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