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【社説】展望2015 経済 格差是正こそ立脚点に

経済 神奈川新聞  2015年01月08日 12:00

貧富の格差が拡大している。その是正こそが、低成長の時代にあって何よりの成長戦略になることを、政府は肝に銘じるべきだ。

昨年末に経済協力開発機構(OECD)がまとめた報告書「所得格差と経済成長」は非常に示唆に富んでいる。1990年から2010年について、格差が拡大しなかったと想定した場合と比べ、日本の成長率は6%押し下げられたと推定。格差が成長の足かせになることを示した。

野村総合研究所によると、資産1億円以上の富裕層と、5億円以上の超富裕層を合わせた数は13年までの2年間で24・3%増加し、100万世帯を突破。米国ほど極端ではないにしても、上位2%ほどの世帯の人たちが国内資産の2割を所有しているという概算もある。

一方で厚生労働省が昨年7月にまとめた調査によると、相対的貧困率は16・1%、18歳未満を対象にした子どもの貧困率は16・3%となり、いずれも過去最悪を更新。6人に1人が貧困層に分類される生活を強いられている。生活保護受給世帯は161万を超え、増加傾向が止まりそうにない。

安倍晋三首相は昨年10月の衆院予算委で、株価上昇について「資産効果としては、給料やボーナスが上がるよりも大きい」と発言。図らずも政権の基本姿勢を示す結果になった。株価や物価の上昇、円安。これらの恩恵は投資家や大企業など、いわゆる強者へ手厚く分配される。

アベノミクスには再配分機能が欠けていると指摘される。トリクルダウンと吹聴するが、仕組みを何もつくらずに富が滴り落ちることはありえない。

OECDによると、貧富の差を表す「ジニ係数」での比較では、日本は加盟34カ国の下から13番目だが、税と社会保障による所得の再配分後には下から7番目に落ちる。つまり、日本の再配分政策は伝統的に格差縮小に寄与していない。アベノミクスによって、その傾向はさらに拍車をかけている。

「不平等の解消を目指す政策は社会をより豊かにする」「教育への投資が成長戦略になりうる」と訴えるOECDの報告書を、日本も無視することはできまい。男性と女性、企業と家計、大企業と中小企業、都市と地方、富裕層と貧困層。格差を解消するためには、という発想こそ経済政策の第一歩とするべきだ。

【神奈川新聞】


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