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  3. 【照明灯】希望の光

ルネサンス期の代表的芸術家ミケランジェロが描いた壁画「最後の審判」で知られるバチカンのシスティーナ礼拝堂に昨秋、発光ダイオード(LED)が導入された。LEDは熱や紫外線による損傷が少なく文化財に優しい。保護のため暗めにしていた以前よりもはっきりと作品を照らし出しているという

▼「多くの童話で光は悪を滅ぼす力に使われる」。昨年のノーベル物理学賞選考委員会はLED実用化を切り開いた日本人研究者3人の受賞理由をこう切り出した。太陽光の充電で光り、「電力網のない地域でも闇を照らし出している」(同委員会)

▼日没後、途上国の子どもらが手にする教科書を照らす発明としても評価された「21世紀の照明」。バチカンではサンピエトロ大聖堂などにも導入が進み、世界へ「希望の光」を放つ

▼その統治者ローマ法王は「貧者のための教会」を掲げ、米国とキューバの歴史的な国交正常化交渉開始の仲介役も務めた

▼光あれば影も。ウクライナをめぐるロシアと米欧の対立、「イスラム国」の脅威、国境を越える感染症。国際社会は新たなリスクに直面する。翻って日本。格差の拡大、子どもの貧困、被災者の救済…。戦後70年、社会に刻まれた光と影の境界を埋めることはできるだろうか。

【神奈川新聞】


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