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  3. 神奈川新聞論説委員、2014年を振り返る(中)外交・復興
御嶽山が噴火し、頂上付近を覆う噴煙=9月27日午前11時56分(登山者提供)
御嶽山が噴火し、頂上付近を覆う噴煙=9月27日午前11時56分(登山者提供)

■米軍基地 拉致問題

-安倍晋三首相は中国・習総書記との首脳会談にこぎ着けたが、日中関係改善への道筋は不透明だ。一方、韓国との首脳会談がいまだに実現していない。さらにオバマ政権の影響力低下によってアジアの安全保障に変化が起きるのか。また、日本人拉致問題における北朝鮮側の調査は進むのか。

C 日中首脳会談では合意内容の曖昧さが目立ち、領土問題など重要テーマはどちらにも都合良く読める玉虫色だ。

B 戦後70年の来年は中韓をはじめ国際社会が安倍首相の歴史認識を注視するだろう。何が国益にかなうのか首相は冷静に判断すべきだ。

D 米国は国防予算削減圧力を受け、海外の米軍基地をより効果的に使う手法を模索するようになろう。

B 沖縄の負担軽減の一方で「本土の沖縄化」が懸念される。

D 米国はアジア太平洋地域に関与する姿勢を示すために神奈川の基地は重要性を増すのでは。沖縄は中国に近いという地理的特性から多くの米軍部隊を集中させている状況は将来的に見直される可能性もあるかもしれない。

J 中間選挙での歴史的な敗北はオバマ氏の残り2年の任期はレームダック(死に体)になることが予想される。一方、人種問題、TPP交渉、イスラム国への対応や東アジアとの外交など待ったなしの課題が山積している。

C ルーブル暴落など世界経済の先行きが不透明になり、また米国の影響力が低下する中、日本は平和外交で地域安定に努めるべきだろう。

E 中国主導でアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)が推進されようとしている中、アジア・太平洋で、日米主導の通商ルールづくりができるかが重要だ。

I 拉致問題の解決は真(しん)摯(し)な調査と報告が前提になる。それを相手に求めるなら、こちらも植民地支配という負の歴史に向き合う必要がある。歴史修正主義者である安倍首相がそうした懐の深さを示せるか。

■地域経済展望

-リニア中央新幹線の着工、国家戦略特区、圏央道開通などは地域経済にどんな影響をもたらすか。また、地銀再編も動きだした。

K 圏央道効果が次第に沿道自治体で現れている。割高感が強かった通行料金も値下げされる方向性が示された。自治体はこの好機を逃さず、着実に企業誘致に結びつける取り組みが求められる。

A 国家戦略特区・東京圏の区域計画がまとまったが、黒岩祐治知事が事業提案してきた先端医療・健康産業の創出は熟度が低くほとんど入らなかった。特区にかかわらずどこまで事業の具体化を進められるかが課題だ。

J 東京五輪を想定するまでもなく羽田空港の国際線発着枠拡大は国の発展全体に大きく関わる。ただ、空港近隣の住民には騒音被害が拡大することが予想される。そうした課題にも配慮しながら、日本の玄関口のあり方を考えるべきであろう。

F 横浜銀行と東日本銀行の統合基本合意は首都圏の全国最大手が動いたという衝撃はあったようだ。横浜銀は広域展開し新たなビジネスモデルを模索することになるだろうが、中小企業や地元への貢献も忘れずにいてもらいたい。

■復興 災害対策

-3・11から3年9カ月。依然として震災復興のスピードが上がらず、いまだに20万人を超す被災者が避難生活を余儀なくされている。一方、川内原発が年明け以降に再稼働する見通しになり、再生可能エネ普及の鍵を握る固定価格買い取り制度が破綻した。

L 津波で浸水した土地のかさ上げや防潮堤の建設をめぐり自治体と住民の思いがすれ違うケースが目立ち、復興の遅れを招いている。食い違いを埋める努力を行政側が重ねなければ解消は難しい。また、大規模地震・津波対策の見直しはある程度進んだ。津波、被害想定などの数字が大きくなったがこれにあまり捉われず現実の備えをどう進めるかが問われている。

-大雪、土砂崩れ、御(おん)嶽(たけ)山(さん)の噴火、台風など大規模な自然災害が相次ぎ、避難勧告のあり方、噴火予知、災害への備えなどがあらためて問われている。

K 御嶽山の惨事は、登山者にとって事前の情報収集や登山届提出の重要性を再認識させた。登山ブームで入山者が増えており、自治体などの対策づくりが急がれる。

L 火山の噴火予知が困難である現実が突き付けられた。現在の科学レベルからすれば自明のことだが、自然災害の予測が極めて困難である現状を学界や国はもっと積極的に伝えるべきだろう。

M 県内でも横浜市や横須賀市で土砂災害が相次ぎ、あらためて私有地の危険崖地の対策の難しさが鮮明になった。行政は、土地所有者が積極的に防災工事に着手できるよう、より使いやすい助成制度づくりや介入をしていく必要があるではないか。

I 原発事故で福島を追われて避難生活を送っている人たちの孤立が心配だ。原発再稼働への動きが加速するほど、事故の記憶が置き去りにされていく。憤りや不満、先行きを口にするのがはばかられる空気が広がりつつある。

N エネルギー基本計画は原子力依存低減に向けた青写真を描けておらず問題。脱原発に向けた具体策を最優先に考えるべきだ。原発ゼロの夏を乗り切り原発に再び依存する方向性は大義を失った。

■子育て 女性の活躍

-安倍政権が「女性の活躍推進」を成長戦略に掲げた女性活躍推進法案の審議中に総選挙となり、法案も廃案になった。今後、同法案の再審議で首相の本気度が試される。

G 増税延期で子育て支援新制度の財源不足が不安だ。認定こども園など来春の制度開始に向けて既に動きだした自治体や保育施設もある。政府は消費税に代わる財源を明示し、新制度への移行を滞りなく進めてほしい。

O 潜在的な待機児童は見逃せない問題だ。自治体間で待機児童に当てはめるかどうかの統一した基準がない。国は早期に基準を設けるべきだ。「ゼロ」を掲げるのもいいが、数字優先だけではなく質の確保にも細心の注意を払ってもらいたい。

A 多くの働く女性が悩む出産や育児などの就業継続の「壁」を取り払うことが先決。男女が共に仕事と家庭の役割を担い働きやすい社会に変える必要があるだろう。

M 女性の活躍への関心の高まりを機に過度な残業など男性優位の働き方や企業風土を変えていくべきだ。女性が働きやすい職場づくりは男性にとっても心地よいはずだ。

【神奈川新聞】


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