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アパートローン「家族信託」活用 高齢者の親族向け融資

経済 神奈川新聞  2016年12月10日 02:00

 節税目的や低金利を追い風に県内でもアパート建設などの住宅投資が続く中、横浜信用金庫はアパートローンで「家族信託」に対応した提案型セールスを開始した。主なターゲットとなる高齢者が認知症などで判断能力を失う前に信託契約書作成を支援し、子どもや親族などの受託者が信託内借り入れをする際に融資を行う。県内信金として初の試みという。高齢顧客の死亡後、相続によって預貯金が信金から他の金融機関へ流出することを防ぐ狙いもある。

 家族信託は営利目的でない民事信託に分類され、家族や親族などに財産管理を託す仕組み。委託者である高齢者の判断能力があるうちに、受託者となる子どもらと信託契約を結ぶ。例えば高齢者が認知症になった後でも、子どもは信託契約で定めた通りにアパートのリフォームやそのための借り入れ、あるいは土地建物の売却がスムーズに行えるようになる。

 同信金はオーダーメード型の融資と位置づけ、新規、借り換え双方のアパートローンに対応。提携する弁護士とともに家族信託の信託契約書の作成をサポートし、受託者が修繕費用などを借り入れる際には、信託財産として不動産登記された土地建物を担保に融資する。金銭財産に関する相談も受け付ける。

 家族信託契約書を作成後、公正証書化して土地建物を不動産登記するという。「公正証書化することで家族間のトラブルを未然に防ぐと同時に、委託者の判断能力を第三者である公証人にも確認してもらえる」と担当者。

 背景に、信金の個人客の多くを占める高齢者の死亡後、相続によって地域金融機関である信金から都市銀行などへ預貯金が流出することへの危機感の高まりがある。また、アパートを建てた高齢者が判断能力を失った後、名義が本人のままで修繕や売却などが困難になり、将来的に空き家問題につながりかねないケースもある。

 信金中央金庫では、来年1月下旬から、全国の信金に金銭信託の相続商品を提供することが決まっている。横浜信金も「受託者である次世代と取引を行うことで将来的に預貯金流出を防ぎやすくなる」とする。同信金は今後、不動産信託に特化した信託会社との連携も視野に入れている。


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