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瀬谷・米軍施設内でウド栽培ピンチ 国が農家に返還要求

社会 神奈川新聞  2014年12月27日 03:00

約半世紀にわたり続いてきた地下でのウドの栽培。山ウドと違い、シャキッとした柔らかい食感が特徴的=3月撮影
約半世紀にわたり続いてきた地下でのウドの栽培。山ウドと違い、シャキッとした柔らかい食感が特徴的=3月撮影

2015年6月末をめどに在日米軍上瀬谷通信施設(横浜市瀬谷、旭区)が返還されることを踏まえ、国が敷地内の国有地でウドを栽培している農家に対し、耕作地を返還するよう求めていることが26日、分かった。ウド農家は継続使用を求めるが、国が農地貸与を認めるとしても高額になるとみられる。上瀬谷うど出荷組合の青木和昭組合長は「特産であるウドの歴史を絶やしたくない。国には過去の経緯も考慮してもらいたい」と話している。

市や同組合などによると、現在の場所でウドの栽培が始まったのは1969年。通信障害が起きないよう地上での農業が制限されていたため、68年に国、県、市の補助金と地元農家の負担金計3千万円を投じて、市がウドの軟化栽培施設を用意した。

地下5メートルに、室(むろ)と呼ばれる外気を防ぐ空間を造り、1年がかりで育てる真っ白な瀬谷のウドは固定ファンが多く、大部分が地元で消費される。当初は農家48戸で計88ある室を利用していたが、高齢化や後継者不足などもあり、現在は13戸となった。

栽培施設(約1万3千平方メートル)は国有地にあり、これまで米軍の意向で無償貸与されてきたが、南関東防衛局(同市中区)は通信施設の返還に伴い栽培を中止するよう、市や地元農家などに通告した。

例え継続使用を認める場合も、高額の有償貸与となる可能性を指摘しており、生産農家からは「ウドは栽培期間の長さや連作障害などもあり、手間がかかる。この上に高い賃料は払えない」「瀬谷のウドは特殊な栽培方法。『他でやります』とはならず、やめるしかない」と肩を落とす。

同局の担当者は「特産品ということは十分理解している」としながらも、「無償貸与は米軍が認めたもの。国に返還された後は国有財産法上の扱いとなるため、『特例』は難しい」と説明。一方で、地元からの正式な要望があれば、対応を協議する考えだ。

市農業振興課は「ウドは重要な横浜ブランド野菜の一つ。生産を続けたいという農家の思いを尊重したい」と調整に前向き。半世紀近い歴史を持つ名産品の存続の危機に、青木組合長は「次の作付けの準備が3月に始まる。それまでに何らかの結論を出さないといけない。有償となっても続けたいが、あまりに高額だとそれも難しい」と話している。

【神奈川新聞】



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