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【社説】 問われる「アベノミクス」の真価

経済 神奈川新聞  2014年12月25日 11:51

自民党の安倍晋三総裁が首相に指名され、公明党とともに新たな内閣を船出させた。新政権は「景気優先」を堅持する構えである。総選挙の争点に位置づけた経済政策「アベノミクス」の行方を注視したい。

国内総生産(GDP)など国内の主要経済指標が悪化し、原油価格急落を契機に世界経済の先行き不安が高まっている状況である。従来の金融緩和、財政出動が実体経済の回復につながるかどうか。中小も含めた賃金の動向が当面の景気判断の試金石となろう。

防衛相を除く全閣僚が留任した第3次安倍内閣は、「選挙での空白」批判をかわす意味でも緊急経済対策を打ち出したのであろう。施策展開で留意すべきは、政策効果が波及していない中小企業への目配りである。

円安の影響で燃料費などのコスト上昇が続いており、一部大企業とは異なり賃上げ可能な経営環境にはほど遠いといえよう。問われるのは、輸出型企業の収益改善の裾野が広がり実需につながるかどうかだ。実体経済が足踏みしたまま大規模な金融緩和が「出口」を見失うような事態に陥れば、首相が描くシナリオの前提が崩れることになろう。

人口減少などで地方の疲弊が深刻化する中、地域活性化の視点も求められる。ただし来春の地方選を見据えたバラマキに陥ってはならない。一時しのぎでは真の地方再生にはつながらないことは過去の例からも明らかだ。中長期の構えで効果的な活性策を練り上げるべきである。

税制改革も急がれる。安倍首相は経済対策とともに2015年度税制改正大綱も年内に策定するよう指示している。焦点の一つは成長戦略と密接に関わる法人税減税であろう。消費税増税の延期で財源の手当てが苦しくなる中、減税先行に踏み切るのかどうか。景気の先行きを見定めた判断が肝要である。

再始動した安倍内閣はまず経済、税制両面での景気浮揚に打って出た格好だ。しかし「官製相場」や「官製春闘」で対症療法的に景気底上げし続けるには限界がある。原油安が続けば、日本銀行が掲げる物価の安定目標も揺るがすことになろう。

総選挙後の世論調査では、景気回復に対するアベノミクスの評価が思いの外低いことが分かった。過去最低の投票率も踏まえ、新政権は時代の変化を的確に捉えた政策に、謙虚に取り組むべきであろう。

【神奈川新聞】


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