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【社説】地震動予測地図 リスク情報説明尽くせ

社会 神奈川新聞  2014年12月24日 10:30

将来起きる地震の可能性を正確に見極めることは、現時点では不可能である。だからといって諦めてしまうのではなく、可能な限り明らかにし、成果を社会に還元する。政府・地震調査委員会が公表した全国地震動予測地図には、そうした現実と意図が色濃くにじんでいる。

地震学の限界を認めつつ、リスク情報をためらわずに開示する姿勢は評価できよう。ただ、受け止める側の住民の理解を得る努力は不十分だと指摘せざるを得ない。

地震動予測地図はその名の通り、日本列島全体を揺れのリスクに応じて色分けした地図である。全国を概観するのを目的としており、個別地点の数値を挙げることに調査委は消極的だ。過剰な不安を招いたり、逆に安心材料と受け止められたりするのを懸念しているからだ。

そうした中で調査委は、各都道府県の県庁所在地のある市役所周辺が今後30年以内に震度6弱以上に見舞われる確率を、今回も一例として示した。

全国最高の78%となった横浜の場合は中区の横浜市役所周辺で試算しているが、一帯は地盤が軟弱で揺れが増幅されやすい。一方、46%だった東京の確率は、地盤の固い新宿区の都庁周辺で算出されている。この事実が示すように、少しの距離の違いでも地震の影響は大きく異なる。横浜の78%も市内全体の揺れのリスクを示すものではない。

その前提に立てば、例えば人口が多く市域も広い横浜市については、複数の地点について数値を明らかにするといった工夫が必要だ。丁寧な説明こそが、数値の独り歩きを防ぐことにつながるのではないか。

調査委は一方で、確率の数値が低い地点について「決して安全とは受け止めないでほしい」と呼び掛けている。同じ場所で地震が繰り返す間隔は数十~数千年以上とばらついており、確率の高い順に地震が起きるわけでないからだ。調査が不十分な結果、確率が低い地域もある。しかし、こうした説明では確率を算出する意義が失われてしまいかねない。

今回の予測地図は東日本大震災の教訓を踏まえ、評価方法を大きく見直したものだ。しかし、専門家の中にも予測の公表に異議を唱える声がある。科学的な知見を人々の暮らしに生かすのは容易ではないとの認識に立ち、利用者の視点でより一層の改善を図るべきだ。

【神奈川新聞】


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