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【社説】川崎市・宮崎県の協定 自治体連携 新モデルへ

政治行政 神奈川新聞  2014年12月21日 10:06

国産木材の利用促進へ、川崎市は杉材生産日本一の宮崎県と連携協力協定を結んだ。フードビジネスや子どもの人材交流でも協力関係を深める。消費地の大都市と生産地の地方都市が互いの強みを生かした、全国でも珍しい連携となる。

戦後に植林した杉やヒノキの人工林が収穫期を迎え、森林の整備・保全のためにも積極的な国産材の利用が急務となっている。国は公共施設の木材利用推進法で低層公共建築物の原則木造化、内装の木質化を進める。各自治体も木材利用促進方針を策定し、取り組んでいる。

川崎市にとって木造建築物は建設費の低コスト化や材料の安定供給、設計担当者のノウハウ不足が障壁だった。一方、宮崎県は木材利用技術センターを持ち、木材利用の技術開発・研究などでは先進県である半面、林業活性化や県産材の販路・消費拡大に悩みを抱えていた。

互いの強みと弱みを補完する取り組みは意義深い。木材の利用や消費により、持続可能な循環型社会の形成にも貢献する。同時に地方の雇用や地域経済の活性化の契機になるだろう。木材の輸送コストや、土地が狭く住宅が密集する都市部での木造建築物の建設には課題も残るが、一つ一つクリアして国産木材利用のさらなる加速につなげたい。

2005年まで川崎-宮崎間にはフェリー航路が運航。サッカーJ1の川崎フロンターレは長年、同県内で春季キャンプを行うなど縁が深い。協定は木材利用にとどまらず、民間業者をつないで宮崎県産の農林水産物を使った新商品開発などのフードビジネスや、子どもをはじめとした人材交流といった分野の連携も盛り込まれた。目に見える具体的な取り組みを積極的に進めたい。

先日、杉並区と静岡県、南伊豆町が共同で特別養護老人ホームを整備する計画を発表した。増加する高齢者に対し、建設用地のない都市部と新たな雇用や消費が期待できる地方との連携で、都道府県を越えての特養整備は全国初という。

「これまでは自治体間競争が盛んだった。しかし、少子高齢化社会のこれからは自治体間連携がより重要になる」と川崎市の福田紀彦市長。今後こうした連携が増えるのは間違いない。川崎市と宮崎県の連携が、地域活性化や新しい価値を生み、全国の手本となる「崎・崎モデル」に育つことを期待したい。

【神奈川新聞】


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