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【社説】燃料電池車 「水素社会」の先駆けに

経済 神奈川新聞  2014年12月08日 12:00

水素で走り、二酸化炭素(CO2)や排ガスを出さない「究極のエコカー」とも呼ばれる燃料電池車(FCV)の一般向け販売が始まる。

エネルギー基本計画にも盛り込まれた水素が次世代エネの主役になるかどうかの鍵の一つは、FCVの普及が握っているといえそうだ。

トヨタ自動車が15日、市販車では世界初となる新型FCV「ミライ」を発売する。ホンダも初の量産モデルのコンセプトカーを公開し、2015年度中に発売予定だ。電気自動車(EV)に力を入れてきた日産自動車も17年度中の販売を目指し、開発を進めている。

FCVはタンク内の水素と空気中の酸素を反応させて電気を起こし、モーターを動かして走る。走行時に車外に排出されるのは水だけでCO2や排ガスは出ない。「究極のエコカー」と言われるゆえんだ。

走行距離もトヨタ車の場合、1回の水素充填(じゅうてん)で650キロメートルと、EV車の3倍近い距離を走れる点は大きなメリットだ。燃料の充填時間もEVの30分に比べ、FCVは約3分と圧倒的に短いのが特長である。

一方、FCV普及には幾つものハードルがあるのも事実だ。一つは価格面。かつては「1台1億円」と言われたこともあったが、今回トヨタ車は723万円で販売される。国の補助金を受けられるため、消費者負担は約520万円程度と高級車並みとなりそうだが、一般消費者にとって簡単に手が届きやすいとは言い難い。水素の燃料費もガソリン並みに下げる必要があるだろう。

もう一つは、水素を供給する水素ステーションなどのインフラ整備が進むかどうかだ。国や石油業界などは15年度中に全国100カ所の水素ステーションを設置する計画。しかし、場所の選定に加え、建設費は約5億円とガソリンスタンドの4、5倍かかるため、どれだけ整備が進むか不透明だ。このデメリットを解消しようと、安価で用地確保が容易なトレーラー型の移動式の水素ステーション整備も動きだし、来年には横浜市中区内で運営予定だ。

川崎市は千代田化工建設と商用水素発電所などの水素供給システム構築を目指し、将来的にはFCVへの水素供給も計画。東京都も20年東京五輪までFCV普及を重点的に進める考えを示している。FCVが「水素社会」の先駆けとなるよう、官民一体の取り組みを期待したい。

【神奈川新聞】


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