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14神奈川衆院選:「本土の良心問われる」沖縄・基地問題も争点に

政治行政 神奈川新聞  2014年12月02日 14:00

沖縄県名護市辺野古・普天間飛行場代替施設(共同)
沖縄県名護市辺野古・普天間飛行場代替施設(共同)

沖縄の基地問題をここ神奈川から投げ掛ける人がいる。伊勢原市に住む団体職員、藤川佐代子さん(63)は米軍普天間飛行場の移設問題で揺れる沖縄県名護市辺野古出身。米軍に使用され、新基地計画で滑走路に当たっている所有地の賃貸契約更新を「古里を守りたい」と拒否し、独自の基地反対闘争に取り組む。総選挙を前に「県民は知事選で移設反対の意思を明確に示した。今度は本土の側が問われている」と訴える。

11月24日、普天間移設問題を追った記録映画の上映会。壇上にマイクを手にした藤川さんの姿があった。「沖縄県民の思いと辺野古の海の貴重さを知ってほしい」。移設計画の理不尽さを訴えた。

藤川さんが所有する土地は米軍キャンプ・シュワブ(名護市、宜野座村)内にある約3千平方メートル。先祖代々、田畑を耕すなどしてきたが、米統治下の1957年、基地が建設された。「米兵による殺人事件があり、橋桁の血の色を今でも忘れられない」。基地に関わる数々の陰惨な記憶がある。

約30年前に父から土地を相続し、92年の最初の賃貸期限の際は地元の母が契約更新。その後、普天間移設問題が持ち上がる。辺野古の岬部分にある土地には現在、米軍施設が建っているが、新基地計画では滑走路の用地とされた。「沖縄北部全体が米軍機の墜落事故の恐怖にさらされる。普天間の危険が拡大するだけ。私の土地が発生源になるのはやり切れない。何よりジュゴンがすみ、サンゴ礁や藻場が広がる辺野古の海を埋め立てるのは絶対に許せない」

母と妹の介護で生活拠点の神奈川と沖縄を行き来する中、移設に賛成、反対で引き裂かれた古里を目の当たりにした。本土に戻るたび、温度差に落胆した。沖縄で大きく報道されたことが本土では伝えられないこともしばしば。神奈川も基地県だが、沖縄県民の思いは神奈川の人にさえなかなか理解されないと感じた。

2012年に2度目の使用期限を迎え、賃貸契約の更新を拒否した。「日本国内で基地はいらないと言って通らないのは沖縄だけ。沖縄は基地特別区域に特化されているよう。新たな基地の犠牲は心の底から拒否したい」。沖縄防衛局は特措法に基づき使用権限取得手続きに入り、現在は沖縄県収用委員会で検討が続いている。土地は暫定使用の状態だ。

審査のため昨年、初めて自分の土地に足を踏み入れた。そこから辺野古の青く美しい海を見て痛感した。「米軍はこの海を自分の海だと思っている。フェンスで囲まれているのは基地ではなく私たちだ」

今年1月の名護市長選、11月の知事選と、辺野古移設反対派が勝利した。それでも政府は移設推進、新基地建設の姿勢を崩していない。藤川さんは訴える。「県外、国外に移転すべきだというのが沖縄県民の明確な意思。政府の中には、沖縄ならいいじゃないかという考えがあるのではないか。沖縄県民の意思を無視して建設を強行し、その心を踏みにじるのか。安全保障の問題は日本全体で考えるべきこと。総選挙では、本土の人々の良心が問われている」

◆普天間移設問題

沖縄県宜野湾市の市街地にある米軍普天間飛行場の移設をめぐる問題。1995年の米兵による少女暴行事件を機に、国土面積の0・6%にすぎない沖縄県に国内の74%が集中する米軍基地の整理縮小を求める声が高まり、日米両政府が96年4月、普天間返還で合意した。日本政府は99年12月に名護市辺野古への移設を閣議決定、2013年3月に辺野古沿岸部の埋め立てを県に申請した。仲井真弘多知事(当時)が13年末に埋め立てを承認し、沖縄防衛局が今年8月に海底ボーリング調査を始めた。この問題が争点になった選挙では、14年1月の名護市長選で辺野古反対派の稲嶺進氏が再選し、9月の名護市議選でも反対派が過半数を占めた。11月の知事選では仲井真氏を破って反対派の翁長雄志氏が初当選した。

【神奈川新聞】


記録映画の上映会で辺野古の現状を語る藤川さん=横浜市港北区のスペース・オルタ
記録映画の上映会で辺野古の現状を語る藤川さん=横浜市港北区のスペース・オルタ

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