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【社説】<衆院選の争点>憲法 自由と権利を守る1票

政治行政 神奈川新聞  2014年12月01日 09:43

安倍政権は自らを縛る憲法とどう向き合い、何をしてきたか。次なる政権選択を前に確かめておきたい。憲法が今、重大な岐路に立たされているからだ。

権力の側は往々にして主権者たる国民の目を欺き、その縛りを振りほどこうとする。ことし7月、集団的自衛権の行使を容認するため、閣議決定で憲法解釈を変更したのは最たる例といえよう。

過去の戦争への反省から、憲法9条は自衛のための武力行使に厳しい制約を設けてきた。海外での戦争に道を開く新たな解釈は制約の範囲を逸脱しよう。だが、国家の存立を守る必要性ばかりが語られ、国民の審判を仰ぐことはなかった。

10日に施行が迫る特定秘密保護法も同じだった。国民の知る権利を侵す恐れが指摘され、多くの国民から反対の声が上がったにもかかわらず昨年12月、数の力で法案の成立を押し切った。

解釈改憲も秘密保護法も、戦後民主主義社会の大転換だった。それでは、歴代内閣にできなかったことがなぜできたのか。

忘れてはならないのは、安倍晋三首相は憲法96条の改正を公言していたという事実であろう。改正発議のハードルを国会議員の3分の2から過半数に下げることに意欲を示していた。根底にあるのは立憲主義の軽視だったといえよう。

憲法を軽んじているから、報道の自由を制限するような行動もためらいなくできるのではないか。

公示を前に、自民党は在京民放テレビ局に選挙報道の「公平中立、公正」を求める要望を行った。出演者の発言回数や時間から街頭インタビューの仕方まで事細かに注意を求めるもので、自分たちに都合の悪い報道を抑え込みたい意図がうかがえる。それはやはり、国民の知る権利を損なうことに通じる。

思い起こされるのは、憲法改正についての麻生太郎副総理の発言だ。昨年夏、ナチスドイツを引き合いに「ある日気付いたらワイマール憲法はナチス憲法に変わっていた。誰も気付かないうちに変わった。あの手口学んだらどうかね」と述べた。

目を凝らし、声を上げねば権力はおごり、暴走を始めかねない。憲法12条は自由と権利は国民の不断の努力によって保持しなければならないとうたう。そのために、われわれ有権者には1票が与えられている。

【神奈川新聞】


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