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市民が「分かる」審理に 裁判員対策を強化 横浜弁護士会

社会 神奈川新聞  2014年12月01日 03:00

参加者を前に、模擬評議の感想を語る裁判員役を務めた市民や裁判官=10月、横浜市中区の横浜弁護士会館
参加者を前に、模擬評議の感想を語る裁判員役を務めた市民や裁判官=10月、横浜市中区の横浜弁護士会館

裁判員裁判制度の開始から6年目を迎え、横浜弁護士会刑事弁護センターは、弁護士の法廷技術の向上に向けた対策を強化する。背景には、裁判官や検察官に比べて対象事件を扱う件数が少ないなど、制度への対応が不十分になりがちな現状への危機感がある。10月には、制度開始以降で初となる「模擬評議」を実施。さらに研修内容を充実させるなどして、「分かりやすい審理」を目指す。

「保護観察や執行猶予など、よく分からない法律用語があった」「検察側の論告や弁護側の弁論よりも、法廷で当事者が答えた内容を重視した」

10月18日、横浜市中区の横浜弁護士会館で開かれた模擬評議。裁判員役を務めた一般の参加者が感想を次々と語る中、評議を傍聴した弁護士らはメモを取るペンを走らせた。

模擬評議は横浜地裁、横浜地検、横浜弁護士会の3者が協力して開催。架空の殺人未遂事件を題材に、裁判員役の20代から70代までの男女7人が裁判官とともに検察側、弁護側の双方の主張を聞いた後、有罪か無罪かや、罪の重さを決める評議を行った。

実際の裁判員裁判では非公開だが、この日は評議の様子をビデオモニターを使って弁護士らがいる別室で放映。参加者は検察官や弁護士の主張を市民がどう受け止めたかを確認したほか、「当初の印象から考えが変わったポイントはあったか」など、裁判員役に質問もぶつけた。

刑事裁判に一般市民が参加する裁判員裁判。法廷で直接関係者から話を聞いて事実の有無などを判断する原則が徹底されるようになり、法廷活動の重要性がこれまで以上に増している。

組織的に対応してきた検察官、裁判官に対し、弁護士はそれぞれが独立している上、人数も多く1人が扱う事件数も限られるため、十分に対応できていないのが実情という。横浜弁護士会刑事弁護センター運営委員会の副委員長を務める妹尾孝之弁護士によると、裁判員への説明が分かりにくいと裁判長から指摘を受けるケースもあった。

最高裁が昨年度に実施した裁判員経験者へのアンケートでも、そうした傾向が見て取れる。「説明が分かりやすかった」との回答は、検察官では67・7%だったのに対し、弁護士は36・0%にとどまった。

模擬評議に参加した弁護士の一人は「難しい法律用語はかみ砕いて説明しないといけない」などと感想を語った。同センターは今後、不定期だった従来の研修を習熟度に応じた内容で定期的に開催。検察側が組織的にノウハウを蓄積しているのを踏まえ、弁護士間の情報共有を柱に、内容を充実させていく予定という。

妹尾弁護士は「えん罪の防止や適切な量刑を得るためにも、弁護士も法廷での技術を向上させたい」と話している。

【神奈川新聞】


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