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【社説】<衆院選の争点>エネルギー 中長期政策を提示せよ

政治行政 神奈川新聞  2014年11月30日 12:06

九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)が年明け以降に再稼働する見通しになった。責任の所在が曖昧な安全審査や避難計画の不備を踏まえれば、「再稼働ありき」で駆け抜けてきた印象は拭いがたい。衆院選では安倍晋三政権が推し進めてきた原発政策の可否、地震・火山国の電源構成のありようが問われる。

原発が稼働していなくても電力が足りていながら、住民軽視とも指摘される前のめりの姿勢を否めない。これが真に国民が望んでいる状況だろうか。いま一度、原点に立ち返る必要があるのではないか。

日本のエネルギー政策を考える出発点は、間違いなく東京電力福島第1原発事故であろう。放射能汚染への恐怖や原発を完全制御することの困難さ、膨大なコストが身に染みた国民は、原子力に依存しない道を強く求めた。こうした声を背景に、当時の民主党政権は「原発ゼロ」「脱原発」方針を打ち出した。

だが、その後、産業界の声などに押され、方針はなし崩し的に後退した。原発の再稼働や建設継続は容認され、原子力規制委員長には「原子力ムラに近い」と批判された人物が就任。「原発ゼロ」目標を明記した「革新的エネルギー・環境戦略」の閣議決定も見送られた。

自公政権に代わると、さらにゼロ方針との隔たりは広がった。安倍晋三首相は再稼働推進を明言し、ことし閣議決定した政府の新エネルギー基本計画では、原発を「重要なベースロード電源」とした。原発依存度については、省エネや再生可能エネルギー導入などで「可能な限り低減させる」と記したが、数値目標や具体策は示されず、切実さや実効性を欠いている。

これまでの動きは、いまだに世論調査で脱原発を求める声が勝る現状とかけ離れていると言わざるを得ない。温室効果ガス削減のためには原発が必要という声はある。しかし過酷事故を教訓とせず、リスクを放置して再び原発に頼ろうとしている現状が最善の道といえるのか。

将来への課題は核廃棄物の最終処分である。政府は、原発から出る使用済み核燃料を再利用する核燃料サイクル政策を堅持する方針だ。原発事故から3年8カ月。現世代の責任として与野党は、最終処分も含めた中長期のエネルギー政策を具体的な工程とともに有権者に提示すべきである。

【神奈川新聞】


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