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東日本銀と経営統合 横浜銀・寺澤頭取に聞く

経済 神奈川新聞  2014年11月26日 12:00

東日本銀行との経営統合について語る横浜銀行の寺澤頭取=横浜銀行本店
東日本銀行との経営統合について語る横浜銀行の寺澤頭取=横浜銀行本店

東日本銀行との経営統合を決めた横浜銀行。地方銀行グループの全国最大手となるだけに、100行を超える地銀再編を加速させるとして、業界関係者への衝撃は大きい。“地銀の雄”が都内の第二地銀をパートナーに選んだのはなぜなのか。地域や取引企業へ影響はあるのか。金融当局の意向が強い統合との見方にどう反論するのか。横浜銀の寺澤辰麿頭取にあらためて胸の内を聞いた。

-歴史に残る決断をした。行員にはどう説明を。

「横浜銀の歴史には過去31行を統合したDNAがあり、驚くようなことではない。ただ、お客さまが融資額や融資基準が変わるような心配をしていたら困ったことで、そういうことはないと伝えた。また、東京を向いた経営ではなく、あくまでも神奈川を基盤にすることが基本だ、と」

-県内の支店が統廃合で減ることはないのか。横浜銀の名前は残すのか。

「支店減少はない。横浜銀行というブランドは維持し、名前も変わらない。お客さまにとっては何らステータスに変更はない」

-9月末の総資産で比較すると横浜銀は13兆7千億円で東日本銀は2兆円。なぜ、規模の違う東日本銀が相手なのか。

「最大のポイントは、お客さまを争うことが少なく、補完関係が多いので相乗効果が出ること。東日本銀は融資の3分の2が中小企業向けで、横浜銀は個人向けが多く、相続や信託、アパートローンなど富裕層向けのノウハウを東日本銀の顧客にも提供できる。来年に三井住友信託銀行と資産運用会社を立ち上げるが、そうした投資型商品も東日本銀に販売してもらえる」

-横浜銀は過去にも東京に積極的に出て、結果的に苦しんだ時代もあるが。

「1969年に預金量が地銀トップになって東京に進出したころは、顧客基盤がない中で東京に支店をたくさんつくり、不動産業者に融資をし、バブル崩壊で傷ついた。今回は東日本銀の顧客基盤を活用するので、単独で行くのとは全然違う」

-東京の地盤が、東日本銀をパートナーに選んだ理由として大きいのか。

「かなり大きい。東日本銀は非常に強固な取引基盤を持っていて、東京の激しい競争の中で貸し出しを伸ばし、預貸率も80%超。白紙から出店して収益を上げることは急にできないが、東日本銀の既存の顧客向けに、われわれが補完することも大きな意味がある。横浜銀も都内で個人向け住宅ローンやアパートローンを一生懸命やっていたが、県内と比べ弱かった。そこの強化のためにも今回の経営統合は意味がある」

-東京での基盤強化は、県内顧客にとってもメリットがあるのか。

「東京の成長力を取り込み横浜銀が成長していくことで、より質の高い広範なサービスを県内でも提供できる。東京を大変重要な市場と考えている県内企業にも、東日本銀の取引先企業を紹介できるようになる。再編議論で金融庁が言うのは、地方経済が縮小し金融機関の収益力が落ちると、地域金融サービスが十全にできなくなるということ。例えば海外拠点を増やすなど銀行が成長し続けることで、質の高いサービス提供につながる」

-今回の東京戦略の勝算はどうなのか。

「なければやらない。それが見込めるから、われわれはやる」

-金融当局の意向が強い統合との見方があるが。

「当局に言われてやったわけではまったくない。当局が、地銀全体に対し『経済が縮小する中で、数が全然減らないでやっていけますか。10年先の経営を考えてください』と言っていることは、われわれも意識している。しかし東日本銀との関係について、仲人口のように当局から『横浜さん、こことどうですか』という話はまったくない」

-同じ財務省出身である東日本銀の石井道遠頭取が、寺澤頭取とは意思疎通がしやすいと話している。

「彼とは共通の教育を受け、役人だったというものの考え方の共通性がある。別の銀行の頭取さんで、キャリアも全然違う人とは違う。(統合協議で)報告が上がってきたときにいちいち確認しなくても、彼ならそう考えるだろうと理解できた」

-神奈川銀行との関係はどうなるのか。

「横浜銀だけじゃなく地元に銀行がもう一つあった方がいいというニーズがあり、神奈川銀に存在意義がある。当行とは敵対関係ではなく人材も派遣しているし、さまざまな面で協力している。今回の経営統合と矛盾するものではない」

◇地銀再編、動きだすか

地銀経営に詳しい大和証券の松野真央樹アナリストは「不良債権で苦しむ銀行を救済する過去の経営統合とは一線を画すものだ」と横浜銀行の統合を評する。補完関係がある前向きな統合だとした上で「首都圏で比べても、神奈川県内の貸出量は伸びていないし、競争が激しく利ざやも落ちる。東京地盤に入っていけるのは大きい」と話す。

日銀の統計を基に、貸出金の前年比伸び率を都道府県別で見ると、神奈川は1%を切る状態が続いており、直近の9月実績では全国ワースト5位の0・7%増。県内でビジネスを展開していても、資金調達は東京本社が一括で行ったり、メガバンクなどの都内の支店に県内顧客を奪われるケースもあるためだ。

県内ではメガバンクや信用金庫との競争に加え、静岡など近県の地銀も参入して金利競争が止まる気配もない。松野アナリストは「東日本銀は自転車で中小企業回りをするような地盤が都心にあり、他行が動く前に横浜銀はいい地盤を取った。東京進出の次は上(埼玉)か右(千葉)しかないが、再編が雪だるま式に動く可能性はある」と見通しを語る。

帝国データバンク横浜支店情報部の野島達也部長も「県内で圧倒的な影響力を持つ横浜銀が、国取り合戦の布石を打った。金利競争にさらされる関東の地銀は今後、単独で生き残るか、横浜銀グループと同盟を結ぶか、別の対抗勢力を結集するか-の選択を迫られるだろう」と分析する。

「地域の金融機関と地域経済は運命共同体。地域金融機関の経営基盤強化は、地域にとってもよいことだ」と歓迎したのは日銀横浜支店の岩崎淳支店長。過去にメガバンクが合併で生まれた経営資源をアジア進出などに投資して活路を見いだした流れを踏まえ、「地銀の場合は国内でどう伸ばすかだ。統合はある意味早い者勝ちで、横浜銀が早く動いたメリットはあると思う」との見方を示す。

これを機に、金融庁が進める地銀再編が大きく動きだす可能性もある。財務省横浜財務事務所の村田明彦所長は「統合効果や広域化のメリットがどう出てくるのかを業界全体が注目している。ぜひ地域活性化につなげてほしい」と期待を寄せる。

【神奈川新聞】


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