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土砂災害 県内各地で避難対策の見直しを模索中

社会 神奈川新聞  2014年11月25日 13:00

広島や東京・伊豆大島の土石流災害を教訓に、土砂崩れ発生時の避難対策を見直す自治体が県内で相次いでいる。鍵を握る住民の意識を高めようと、危険な崖地などを示すハザードマップを見直したり、その活用法や発生傾向を伝えたりする取り組みが始まった。土砂災害は予測が難しく、公助の限界も指摘される。差し迫った段階で住民が自らの判断で命を守れるよう、避難の選択肢を増やす動きも広がりつつある。

「過去10年間でみると、土砂災害の発生件数は年平均2件。住宅地での小規模な崖崩れが多く、人命に関わる事例はない」

10月31日夜、川崎市宮前区役所。市が初めて開いた土砂災害ハザードマップの説明会で、担当者は現状を分析するとともに対策の難しさを率直に述べた。「土砂災害は突発的で予測が難しい。崖近くに住んでいる人には大雨のときに注意してもらうしかない」

県が土砂災害警戒区域に指定した市内の急傾斜地は759カ所。いずれも傾斜30度以上、高さ5メートル以上の崖地だが、「現実には5メートル未満の崖でも崩れることはある」と市宅地企画指導課の日野正裕課長は明かす。6月に宮前区で起きた崖崩れでは擁壁が崩壊。その上部と下側の住民が避難を余儀なくされたが、この現場も警戒区域には指定されていなかった。

「崖の上と下のどちらが危険なのか」「どれぐらいの雨で気を付けなければいけないの」-。説明会で相次いだ不安の声を受け止めつつ、日野課長は強調する。「広島で起きたような土石流の警戒区域は市内にはない。川崎の特徴を理解してもらえれば、命は守れる」。今月17日まで計6回の説明会で「警戒区域がどのようなものかといった基本的なことが伝わっていないことが分かった」とする市は「今後も直接、説明する機会を設けたい」としている。

ハザードマップそのものを見直す動きも出ている。川崎市と同様に急傾斜地の迫る住宅地が市内に点在する横浜市は、避難方法や避難勧告などに関する詳しい説明を新たに盛り込む方向で検討。箱根町は町内を31地区に区分したマップを作製済みだが、避難経路が崩落土砂で寸断され、離れた場所へ避難せざるを得ない状況を想定し、より広域をカバーしたマップを本年度中に作製する予定だ。

10月に相次いで首都圏を襲った台風も、避難対応を見直すきっかけになった。中山間地に集落が点在する山北町は10月の台風18号から、自主的な避難者の受け入れ態勢を強化。三浦市は避難勧告の前段である避難準備情報を住民に早めの行動を促す目的で積極活用することとし、18、19号の際に発表した。

国が「空振りを恐れない早めの対応」を市町村に求めている避難勧告・指示について鎌倉市は、気象台などから土砂災害警戒情報が発表された段階で避難勧告を出すことを決め、既に運用を始めている。

ただ、こうした取り組みでも、近年多発する突発的な局地豪雨には対応できない恐れが大きい。

今夏に相次いだ広島市や長野県南木曽町の土石流災害を教訓に対策の見直しを急ぐ国は、有識者らによる検討会を10月に設置。避難勧告の対象地域を絞り込むことなどが可能かどうか探り始めたが、検討メンバーの一人、横須賀市市民安全部の小貫和昭次長は「土砂災害は、自治体より現場に近い住民の方が危険性を把握できる」と対応の難しさを指摘する。本年度内にまとめる予定の提言に、新たに有効な手だてを盛り込めるかは不透明だ。

【神奈川新聞】


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