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【社説】地球温暖化報告 警告、真摯に受け止めよ

社会 神奈川新聞  2014年11月24日 09:30

国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が第5次統合報告書を公表した。7年ぶりに改定された報告書は、世界のリーダーに地球温暖化防止をこれ以上先延ばししないよう警告している。

報告書によると、産業革命前からの気温上昇を2度未満に抑えるとの国際目標を達成するためには、今後の累積二酸化炭素(CO2)排出量を1兆トン以下に抑制する必要がある。そのためにはCO2などの温室効果ガスの排出量を2050年までに10年比で40~70%削減し、今世紀末にはゼロにする方法が示された。

対策を強化しない場合、今世紀末には20世紀末に比べて平均気温が最大4・8度、海面水位が最大82センチ上昇する恐れがあると予測。気温の変化に追いつけない生物は絶滅、穀物生産や魚類の分布が変わる。水害や高潮が頻発して移住を強いられる人が増えるなどの悪影響が広がる。日本国内でも今夏、豪雨の被害が各地で多発するなど異常気象という脅威が身近に感じられた。

各国首脳は対策の着手が遅れれば遅れるほど被害は深刻化し、要するコストも高くなるとの指摘を真摯(しんし)に受け止めてもらいたい。削減目標の達成には再生可能エネルギーの導入などさまざまな手法があるが、経済と環境の両立を目指していく姿勢が重要だ。

IPCCは、世界の研究者ら約800人が参加して4年をかけて最新の成果をまとめた。前回の第4次報告書では公表後、記述の誤りやデータ流出事件が発覚して信頼性を揺るがす事態が起きた。今回、作成手順などが見直しされた結果、温暖化の進行などの科学的根拠が変わらなかった点は評価できる。

温室効果ガスの削減に向けた国際交渉は正念場を迎えている。12月1日からペルーで始まる気候変動枠組み条約第20回締約国会議(COP20)では、京都議定書に代わる削減ルールづくりの議論が具体化する。二大排出国の米中が先の首脳会談でそろって削減目標を表明し、交渉をリードする姿勢を鮮明にした。

かつて交渉を主導した日本は東日本大震災以降、取り組みが停滞していると言わざるを得ない。東京電力福島第1原発事故の影響はあるが、報告書でも削減には「多様な道筋」があるとしている。事故の教訓を生かし、得意の省エネ技術を駆使した対策で新目標を練り上げたい。

【神奈川新聞】


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