
J2最終節は23日、ニッパツ三ツ沢球技場などで11試合が行われ、J1昇格と優勝を決めている湘南は3-2で大分に勝ち、勝ち点を101に伸ばした。横浜FCは1-0で北九州に勝利し、ホーム白星で今季最終戦を飾った。
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横浜FCが総力戦を制した。試合は複数の主力を欠く中で終始押し込まれたが、最後まで集中力が切れなかった。「粘り強く、タフなプレーを表現してくれてうれしかった」。選手の思いを受け取った、今季限りで退任する山口監督の目には涙がにじんだ。
「3年間お世話になった監督。期待に応えたかった」(MF佐藤)。そんな気持ちは後半12分に結実した。右CKをニアサイドでFW黒津が頭で左にそらすと、佐藤が体を投げ出し、右足で執念の一撃をねじ込んだ。イレブンは次々とベンチの指揮官のもとに向かい、歓喜に酔った。
前々節の岡山戦でプレーオフ進出を逃し、最終成績は14勝13分け15敗の11位。ただ、低迷の責任を監督だけに押しつけるのは乱暴すぎる。
29選手のうち、新戦力が約半数の14人。3年目の指揮官は追い求めるサッカーを浸透させるのに苦労し、シーズン序盤の失速を招いた。
その新戦力も期待に応えたとは言い難い。2人の外国人ストライカーは合わせて4得点。全体のシュート数はリーグで2番目に少ない377本と前線の迫力不足は明らかで、今季の総得点は決定力不足に泣いた昨季と同じ49得点だった。
補強や選手起用をめぐって指揮官とクラブの間には確執もあったという。「(現場以外が)起用に意見するようでは強くはなれない」。ある中堅選手は苦言を呈する。
試合後のセレモニーで北川社長のあいさつは、サポーターのブーイングにかき消された。「クラブ、サポーターも一体感を持って戦わないといけない」。山口監督の最後のメッセージを重く受け止め、出直しを図らないといけない。
【神奈川新聞】