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【社説】危険ドラッグ規制条例 包囲網狭め早期根絶を

社会 神奈川新聞  2014年11月14日 09:09

危険ドラッグの吸引者による事故や事件が後を絶たない。乱用による死亡者も増えており、さらなる対策の強化が求められる。

県は現在、危険ドラッグを独自に規制する「県薬物濫用(らんよう)防止に関する条例案」を県議会に提案する準備を進めている。条例で規制する動きは複数の都府県に広がるが、神奈川でも実効性ある規制を整え、一日も早い条例化を期待したい。

危険ドラッグは薬事法で規制されている。乱用が社会問題となって以降、国は成分構造が似た物質をまとめて規制する「包括指定」を導入したが、化学構造の一部を変えて逃れる「いたちごっこ」は続く。

条例は国の指定を待たずに規制するのが狙いだ。県の条例素案は、知事が乱用の恐れがある薬物を「知事指定薬物」として指定し、製造や販売、所持、使用、広告、譲受や使用の場所提供を禁止する。違反者が警告に従わない場合には製造や販売などの中止を命じる。中止命令の違反者には2年以下の懲役または100万円以下の罰金を科す。

さらに「薬事監視員」の県職員に限られている店舗への立ち入り調査権や店員への聞き取りをする権限を警察官にも認める。現状では警察は犯罪捜査や緊急事態でない限り、店側に拒まれれば調査できないだけに、流通実態を迅速に把握できるようになる効果が期待される。

県議会の議論では、指定薬物の疑いがある物品について店舗に検査を命じ、結果が出るまで販売を禁止できる薬事法の「検査命令」の手法を条例に求める意見もあった。こうした意見も積極的に取り入れ、条例の実効性に磨きをかけてほしい。

すでに隣の東京都が条例で規制している影響で条例不在の隣接県に販売拠点が移っているとの見方もある。条例化を急ぎ、薬物指定の迅速化などでは都などと自治体間の連携を深めなければならないだろう。首都圏での「包囲網」を狭め、根絶に追い込んでもらいたい。

幻覚や意識障害を招く作用がある危険ドラッグは近年、毒性が強まっているといわれる。今年1~9月に県内では11人が死亡した。死亡・脳死状態は計12人に上り、すでに昨年1年間の計9人を上回るペースだ。薬物乱用は本人の心身をむしばむだけではなく、家族や周囲の人も危険に陥れる。子どもたちにその恐ろしさを教える教育にも力を入れたい。

【神奈川新聞】


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