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【照明灯】気のおけない店で流れる時間

社会 神奈川新聞  2014年11月12日 10:41

〈君とよくこの店に来たものさ〉と歌う、フォークグループGARO(ガロ)の「学生街の喫茶店」がヒットしたのは1973年だった。当時、コーヒーをたしなむことを覚え、友人との会話を楽しんだ▼定食評論家・今柊二さんが小紙に連載している「私の好きな喫茶店」を興味深く読んでいる。本格コーヒーだけでなく、モーニングサービスあり軽食あり、気のおけない店が今さんのお好みのようだ▼残念なことに、ゆったり流れる時間と快適な空間を提供する個人経営店は減っている。セルフサービスのチェーン店や安価なコンビニへ客が流れた。パソコンやタブレット端末で仕事をする顧客向けの無線LAN設置など、時代の変化に対応できていない店も多い▼干ばつ被害や円安、新興国の需要増加などによってコーヒー豆が値上がりしている折、価格転嫁が難しいことも経営を圧迫している。街の小さな店舗ですら世界の動きと無縁ではない▼吉永小百合さんが主演した映画「ふしぎな岬の物語」が、今年のモントリオール世界映画祭の審査員特別賞グランプリを受けた。舞台は千葉県鋸南町に実在する喫茶店で、店に通う人たちの心の交流を描いた。忙しすぎる日々に流されず、一杯のコーヒーに憩う時があっていい。

【神奈川新聞】


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