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「派遣の仕事減り無理心中図ろうと…」 母殺害の女に懲役6年判決

社会 神奈川新聞  2014年11月07日 03:00

横浜市中区で2月、同居する母親=当時(87)=を殺害したとして、殺人の罪に問われた同区、無職の女(57)の判決公判が6日、横浜地裁であり、田村真裁判長は「身勝手で短絡的な犯行」として、懲役6年(求刑懲役8年)を言い渡した。

田村裁判長は判決理由で「派遣の仕事が減り、預貯金を使い果たして無理心中を図ろうとした」と認定。「約50年間にわたって2人暮らしを続けていた娘の手により、突然命を奪われた無念は察するに余りある」と非難した。

判決によると、同被告は2月28日、同区の自宅マンションで母親の首をスカーフなどで絞め、タオルで口を押さえるなどして窒息死させた。

◆稚拙な行動で困窮招く

「経済状況を相談できる人はいなかったのか」。生活苦を理由として、2人で無理心中を図るつもりで母親を殺害した被告。弁護側の質問にも、自殺未遂の傷痕が残る首を力なく振った。

幼少期に両親が離婚。以来、被告は約50年にわたって母親と2人暮らしだった。ただ、50歳ごろから希望する事務の派遣の仕事は減り、家計は月9万円の母親の年金が頼りに。300万~400万円ほどあった預貯金は、2~3年で使い切った。

それでも、月11万円の3DKの賃貸マンションに住み続けた。「母に金銭管理もできないと思われたくなかった」と被告は打ち明けたが、家賃の支払いは滞り、ついには明け渡しを求める裁判を起こされる。「もう駄目だ」と手にしたスカーフで、気付けば母の首を絞めていた。自らも刃物で首を切るなどして自殺を図ったが、死にきれなかった。

「解決策はない」と一人で思い詰めた末の選択も、この日の判決では「稚拙な行動で経済的困窮を自ら招いた」と指摘された。

事情を理解してもらえることはないと諦めていたからか。裁判では起訴内容を認め、終始淡々と受け答えをした被告。だが最終意見陳述では、思わず感情を高ぶらせ、「最初は罰を受けることだけを考えていた。今は面会に訪れ、支えてくれた友人に恩返しをすることも、母への償いの一つになると思う」と声を震わせた。

「心から反省し、立ち直りの意欲があることは刑の長さに反映させたつもり。社会復帰後は支えてくれる人がいることを忘れないでほしい」。判決言い渡し後、検察側の求刑より減じた田村裁判長からこう語りかけられた被告は、静かに退廷していった。

【神奈川新聞】


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