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再生エネ見直し 県内波紋 メガソーラー普及に陰

経済 神奈川新聞  2014年11月02日 03:00

政府が再生可能エネルギー固定価格買い取り制度の見直しに着手したことをめぐり、県内のメガソーラー(大規模太陽光発電所)事業者や自治体などに波紋が広がっている。契約済み発電事業への影響は限定的との見方が多い一方、売電価格引き下げで採算が見込めず新規参入を見送る動きも。「再生エネ普及を図る国策と矛盾する」-。原発依存脱却に向けた切り札の導入からわずか2年での制度破綻に、関係者は戸惑いを隠せずにいる。

「黒岩知事のソーラー政策に共感して地域貢献を、と太陽光発電に乗り出したが、これ以上新規事業を進めるのは厳しい」

県内外でメガソーラー建設を進める建設会社・関野エンタープライズ(秦野市)の関野義一社長は、表情を曇らせる。

地元の震生湖近く、約2万3千平方メートルの土地に建設予定のメガソーラー(出力990キロワット)は、2012年に東京電力と1キロワット時当たり42円で契約。年間約5千万円の売電収入を見込み、来秋の稼働を目指している。

13年に経済産業省の認定を受けているため制度見直しの影響は限定的とみるが、他県から打診された新規のメガソーラー計画は「もう採算が成り立たない」と、断ったという。

大手電力会社の再生エネ受け入れ中断に端を発した制度見直し論。県内で東電による買い取り制限の動きは見えず、契約済み事業への影響もないとしている。しかし機運の後退を懸念する声は多く、政府への不信感を口にする事業者も。

大井町でメガソーラーを建設中の発電事業者は、見直しは「想定していた」としながらも、「手続きを終えている事業に影響するのであれば、非常識で法的にも問題がある」と指摘。中井町で手掛ける事業者は「今でも採算が取れずに断念するケースがあり、状況は厳しくなる」との見方を示した上で、「国策との矛盾が生じる」と疑問視する。

制度見直しに向けた議論の行方を注視するのは、再生エネ普及を目指す自治体も同様だ。

市内の埋め立て地でメガソーラー誘致を目指している三浦市は、土地の貸付価格が高く採算が見込めないとの理由で事業者が名乗り出ない状況が続いている。制度見直し論に、市担当者は「もともと可能性が薄いのに、さらに可能性がなくなる」とため息を漏らす。

官民一体で取り組む小田原市は「買い取り価格の大幅な引き下げがあると、事業活動そのものができなくなる可能性があり、最大の懸念だ」(加藤憲一市長)と、政府への提言や要望を行う考えを示す。

一方、県はメガソーラーの適地が限られる都市部では、発電規模に応じた細かい固定買い取り価格の設定が必要と、国への要望を重ねてきた。今回の見直しでは住宅用パネル普及など主要施策への影響は限定的とみられるが、10月31日に山際大志郎経産副大臣に再生エネ導入拡大を求めた黒岩祐治知事は、こう力を込めた。「再生可能エネルギーはもう十分普及し、これ以上の拡大は無理だという機運になっては困る。神奈川は全然そんな状態ではない」

“太陽光バブル”ともされるメガソーラーの導入ラッシュを受けた制度見直しの動き。浜銀総合研究所の新滝健一主任研究員は、神奈川では発電量そのものが少なく影響はほとんどない、とした上で「原発から再生エネへの流れを後押しする制度として誰も異議を唱えずに創設されたが、負担増で継続困難になることは当初から分かっていた」と指摘。今後については「やみくもに普及を進めるのではなく、発電効率の技術革新や家計負担などを見極め、将来の再生エネ依存度を練り直す時期にきている」との見方を示している。

◆固定価格買い取り制度 太陽光や風力など再生可能エネルギーによる発電を増やすため2012年7月に導入された制度。大手電力会社に対し、再生エネ事業者が発電した電気を国が決めた価格で一定期間買い取るよう義務付けている。電力会社の買い取り費用は電気料金に上乗せされる。経済産業省の有識者会議が毎年、買い取り価格を見直している。

【神奈川新聞】


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