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【照明灯】流しと野毛

カルチャー 神奈川新聞  2014年10月27日 10:00

粋な音締めの三味線、哀愁を帯びた歌に、胡弓の音色。編み笠を目深にかぶった踊り手の一行が、夜のとばりが下りた街を練り歩く。「おわら風の盆だ」。沿道から声が上がる▼横浜・野毛は柳通り。近年恒例となった「柳通り流し芸」の幕開きだった。約200メートルの通りは大半は飲食店。酔客の喧騒と混然一体となり、独特の風情に包まれる。こちらは、大学時代のサークル仲間2人と久しぶりに待ち合わせての飲み会。偶然にもこの特別な日に出くわし、気分は余計に盛り上がる▼アコーディオン、ギター、尺八に紙切り…。バラエティー豊かな芸人が入れ替わり店に入ってくる。トークで笑わせ、歌で盛り上げ、客のリクエストに即興で応える。♪野毛の山からノーエ、野毛の山からノーエ、野毛のサイサイ…。野毛山節まで聞けるなんて、投げ銭も弾まずにはいられない▼威勢のいいばちさばきは津軽三味線。「最初はぎこちなかったけど、彼は随分うまくなったよ」と居酒屋の大将。弾き手の若者が上達していくさまをずっと見てきたからこそ言える、温かみのある言葉だ▼運営の難しさもあると耳にする。すっかり定着した大道芸に比べ、エリア的には限定されているが、流し芸もなかなかこの街に似合っていると思う。

【神奈川新聞】


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