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東儀×古澤×coba 55歳トリオが生む唯一無二の音

箱根登山鉄道 神奈川新聞  2014年10月24日 03:00

9月に東京・渋谷オーチャードホールで行ったステージ。(左から)古澤巌、東儀秀樹、coba
9月に東京・渋谷オーチャードホールで行ったステージ。(左から)古澤巌、東儀秀樹、coba

雅楽師の東儀秀樹、バイオリニストの古澤巌、アコーディオ二ストのcoba、それぞれの分野をけん引する3人が9月にユニット「TFC55」を結成。ユニット名と同じ名のアルバムを発売し、ライブツアーを展開している。19日にあった埼玉・大宮公演の前に、ユニットの魅力やスイス・ベルン大聖堂で24日に行う「日本・スイス国交樹立150年」を記念したコンサートへの意気込みなどを聞いた。

東儀と古澤は定期的に公演を行ってきた音楽仲間で、昨年2人が肩を並べた舞台にcobaが特別ゲストとして参加。好評だったことから「また面白いことをしよう」という東儀の呼びかけで再共演が実現した。「T」「F」「C」はそれぞれの名の頭文字、「55」は3人の年齢を取った。東儀は「55はゴーゴーとも読める。前に前に進んでいくアグレッシブな3人の思いを感じて欲しい」と思いを込めた。

東儀は奈良時代から1400年以上続く楽家の出身で、多様な楽器を操り日本の伝統文化の紹介に努めている。古澤は国内外で音楽を学び、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団など一流の演奏家と共演を重ねている名手だ。cobaは作曲家としても数々の作品を生み出しており、2010年のバンクーバー五輪では、親交があった男子フィギュアスケートの高橋大輔さんに曲を提供、高橋さんは銅メダルを獲得している。

19日の埼玉では、3人がユニットのために書き下ろしたオリジナル曲はもちろん、アストル・ピアソラが作曲したタンゴの名曲「リベルタンゴ」などを演奏。cobaが身体を後ろに大きくのけぞらせ、攻撃的にアコーディオンを弾けば、その熱に乗っかっていくように東儀が篳篥(ひちりき)を力強く奏で、古澤も負けじとバイオリンをかき鳴らしていく。剣士が剣を合わせるように、その瞬間の判断で進む“戦い”は百戦錬磨の経験がなせる技。3人も想像をしていなかった音が編み出され、生まれた音は宿った力とともに会場に放たれていく。集まった2500人の観客は、身体を揺らしたり、手を打ったり、驚きや発見にあふれた時間を思い思いに味わっていた。

「僕はね、練習をしない人間なので、本番で起きたことに乗っかって楽しんでいます。乗っかっていくことで、僕自身これまであり得なかった演奏や音に繋がっていて刺激的なんです」と東儀。古澤も「たとえばデートをしたことがない人が、デートで話すセリフを練習したり準備をしても、予定通りに行くとは限らないから、完全な準備をすることなんてできないですよね。演奏もそう。起きたことに対してどう対応していくかが面白さ。僕は東儀秀樹という天才に出会って、積み重ねた経験が本番で火事場の馬鹿力になるということを教わりました」と共演を振り返った。

東儀が持つ笙(しょう)はシルクロードを越えた先で、パイプオルガンやアコーディオンに姿を変える。アジアとヨーロッパ。文化が違っても、細胞レベルに響く何かがきっとあるはず。cobaは「楽器も食べ物も、原種に近いものはやっぱり力を持っていると思うんです。僕は赤坂でイタリア料理店を経営しているのですが、金華豚やアグー豚、ミネラル豊富なイタリア野菜とか、使用する食材は原種にこだわっているんです。原種は生命力が強いから味が濃いでしょう。笙や篳篥は2000年くらい前に生まれて、姿を変えることなく存在しているんです。だから1音で宇宙を出現させ、僕らはその宇宙の中をさまようことができるんです。西洋と東洋を融合させ、唯一無二のものを生み出すことができるのは、3人がそれぞれ確立しているから。何をやっても大丈夫という自信があります。3人だからできることをもっと追求していきたい」と冒険は続いていくようだ。

◇「日本・スイス国交樹立150年」を祝いベルン大聖堂で記念公演を開催、箱根町との縁は

やんちゃな3人は国内を飛び出し、世界遺産のベルン大聖堂で24日にコンサートを行う。スイスといえば、ともに国際的な温泉地として知られるサンモリッツ市と箱根町が11月に姉妹都市提携を結ぶ予定。サンモリッツを走るレーティッシュ鉄道と箱根登山鉄道とはすでに姉妹鉄道提携を結び35年目を迎えている。3人の箱根の思い出は……。

東儀は「スイスは初めてなので、公演をとても楽しみにしています。箱根と縁があるなんて驚きました。箱根と共通しているところを探す楽しみができました。箱根は芦ノ湖で海賊船に乗ったことが1番の思い出です」と笑顔。cobaは「以前『箱根 彫刻の森美術館』で食と音楽、両方をプロデュースするイベントをしたことがあります。僕は音は魂の薬、食事は身体の薬と思っているので、おいしいものがたくさんあって空気が良い箱根はとても魅力的ですね」とコメント。古澤は「僕は九頭龍神社の月次祭にうかがったり、縁がありますね。この秋は箱根の峠を走ろうと、サイドカーを買ったんです。でもサイドカーって二輪に取り付けて走るものなんですよね。僕、二輪の免許を持っていなかったので、いま教習所に通っているところなんです。でも一本橋を渡るという教習行程と、スラローム(縦に並んだパイロンを、一定時間内に交差しながら走行する)でつまづいていて、あと2カ月くらいかかる見通しです。年内に箱根を走ることができればいいのですが……」と肩をすぼめていた。

【神奈川新聞】


9月に東京・渋谷オーチャードホールで行ったステージ。(左から)古澤巌、東儀秀樹、coba
9月に東京・渋谷オーチャードホールで行ったステージ。(左から)古澤巌、東儀秀樹、coba

ベテランたちの“デビュー”作品「TFC55」のジャケット
ベテランたちの“デビュー”作品「TFC55」のジャケット

東儀秀樹さん
東儀秀樹さん

古澤巌さん
古澤巌さん

cobaさん
cobaさん

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