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【照明灯】ノーベル賞と実学

社会 神奈川新聞  2014年10月16日 12:05

ことしのノーベル賞週間は、「最も身近な研究成果」として日本人3人による「青色LED」が話題を集めた。技術革新が生活の利便性を高め、地球環境、エネルギー問題の解決に応える-。偉業は科学の原点を鮮やかに示した

▼学術研究の実用化、社会還元が重視されるようになって久しい。「研究のための研究」に公費をつぎ込むのは理解を得がたいだろう。一方で、短期に顕著な成果を挙げる費用対効果の高い研究への期待感が研究者に過度のプレッシャーを与えていないか

▼空理空論の対極にある実学というと、世界的な化学者で東京理科大学学長の藤嶋昭さんが思い浮かぶ。大学院に進学し間もなく光触媒現象を発見。空気の浄化や防汚、抗菌、脱臭など多様な用途の製品に生かされ、事業規模は年間1千億円に上るとされる

▼川崎市内の自宅近くを流れる多摩川の浄化を考え、「石の上に酸化チタンをコーティングして置いたりしました。でもうまくできっこないですよ、あんなに大量の水は処理できないです」

▼科学技術振興機構・産学官連携ジャーナル9月号のインタビューで、これまでの成果とともに「いろいろ失敗もあった」と、知られざるエピソードを飄々(ひょうひょう」)と披露。研究者の奥深さを垣間見たようだった。

【神奈川新聞】


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