
情感にあふれた女性像などで知られる竹久夢二(1884~1934年)の生誕130年を記念し、その芸術と生涯を振り返る「竹久夢二展 ベル・エポックを生きた夢二とロートレック」が15日、横浜駅西口の横浜高島屋ギャラリーで始まった。同時代にパリで活躍したロートレック(1864~1901年)と夢二を対比する新しい見方によって、夢二の知られざる側面に光を当てている。
「夢二式美人」と呼ばれる独特の情趣をたたえた女性像で人気を得た夢二。雑誌の表紙や広告、千代紙などのデザインまで幅広く手がけ、出版、商業美術でも優れた感性を発揮した。
同展では、ムーラン・ルージュといった酒場の女性など、パリの風俗を描いたポスターを芸術作品に昇華させたロートレックと夢二を対比。両者には、構図や色使いなど浮世絵に影響を受けた共通点があり、ともに商業デザイン界をリードした先駆者としての役割にも注目した。
夢二の日本画や油彩画、版画、挿絵など多様なジャンルの代表作のほか、ロートレックのポスターなど約200点が並ぶ。ロートレックの複製画を貼った夢二のスクラップ帳も紹介している。
夢二の故郷、岡山にある夢二郷土美術館の小嶋ひろみ館長代理は「人間の悲哀や心情を描いた二人が、東西でどのように時代を開拓し、花開いていったかを見てほしい」と語る。
27日まで。入場料は一般800円、高校・大学生600円、中学生以下無料。神奈川新聞社などの主催。問い合わせは横浜高島屋電話045(311)5111。
【神奈川新聞】