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【社説】税制改革 中長期的視点を

経済 神奈川新聞  2014年10月15日 11:33

自民党税制調査会が来年度税制改正論議を開始した。主要な論点は、消費税率の再引き上げ、軽減税率制度の可否、法人税の実効税率引き下げと代替財源に絞られよう。

税収が減少傾向をたどる一方で、社会保障関連費の増加が見込まれる状況である。税制と一体である財政の健全化に軸足を置き、中長期的な観点で時代の変化を踏まえた税体系のあり方を議論してもらいたい。

消費税率をめぐっては、安倍晋三首相が7~9月期国内総生産(GDP)2次速報値の結果を踏まえ、最終判断する見通しだ。財政再建と並行し、少子化対策や地域振興への対応が政権の命題といえよう。

税率8%の引き上げが想定以上に景気の落ち込みを招いたため、政府、与党内にも現段階での再引き上げ決定について慎重論が出ている。増税に伴うさらなる景気悪化は財政にも少なからず悪影響を及ぼす。決定を延期するにしても、具体的な時期の明示が避けられない。

軽減税率は消費税率10%時に導入する方針で自民、公明両党が一致している。低所得者世帯への税負担の「逆進性」解消に有効なことは、欧州での導入例からも実証されている。問題は具体的にどの食品や生活必需品を線引きの対象にするか、説得力のある基準の提示である。

与党税制協議会が全国知事会などの団体から実施した意見聴取では、賛否が真っ二つに分かれた。事業者の事務負担が増えたり、税収減によって社会保障費充実への充当財源が不足したりすることも懸念される。税調は聴取結果や課題を精査、整理し適正な逆進性対策のあり方を検討してもらいたい。

来年度の改正で特に注目されるのは、法人税の実効税率引き下げといえよう。政府は成長戦略の金看板として20%台に引き下げる方針である。経団連も同様の提言を発表したが、減税財源として赤字法人も課税対象となる外形標準課税の強化には慎重姿勢だ。

税収が先細る状況の中で、減税と増税を組み合わせて実施し、バランスを図る「税収中立」の堅持が筋である。財源確保の具体化へ税調の判断が焦点となろう。

国の借金(国債残高)は初めて1千兆円台を突破した。財政の持続性確保とデフレ脱却の双方をにらみ、税調には多様な利害を調整、集約するかじ取りが求められる。

【神奈川新聞】


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